6月。雨がしとしとと降る休日。ふと思い立って、磯子区・横浜市電保存館へ。
50年ほど前まで、横浜のまちには路面電車が走っていました。今回のはまめぐりは、横浜の歴史と”市電”の歴史をめぐります。
✔︎路面電車
✔︎昭和レトロ
✔︎まちの歴史と市電
■はまめぐりとは
「横浜=みなとみらい?」
いやいや! 横浜は、それだけじゃない。
横浜市は全部で “18区” あるんです。魅力は18通り、いや、それ以上に。
もっともっと色んな横浜を知りたい。そして、知ってもらいたい。
「横浜=∞」な魅力発信を目指して横浜好きの川内美月が、よこ「はま」を「めぐり」ます。
■磯子区について
はまめぐり6月号は、「磯子(いそご)区」!
磯子といったら‥例えば夜。丘陵地から眼下の海沿いを眺めると、煌々と輝く工場夜景や首都高を往来するクルマの灯りが、どこか儚げでエモーショナルな気持ちにさせてくれます。
“みなとみらい”の開発が始まる前から、「横浜=ロマンチックな場所」のイメージがあるのは磯子の存在があったからではないでしょうか。もう “横浜のパイセン”と表現させてください。
■横浜市電保存館について
今回のはまめぐりでは、“横浜のパイセン” 磯子区にあります「横浜市電保存館」にお邪魔しました!「横浜市電」は、1904年から1972年まで約70年間にわたり、街中でちんち〜んと音を鳴らしながら走っていたことから“ちんちん電車”の愛称で親しまれ、横浜市民の足として活躍した路面電車です。
館内には、市電の車両や電停標識(停留所)、敷石が当時の姿のまま保存されています。レトロな雰囲気が漂い、その時代を知らない私でもどこか懐かしさを感じるような空間です。
▲市電が走っていた当時の写真も展示されています。紛れてみました✌
エントランスには、横浜の歴史年表!
横浜のまちの発展と共に時代を歩んだ横浜市電。「市電を知るには、まず横浜の歴史を見よ!」ですね。横浜好きの私にはたまらんコーナーです。
▲「吉田新田(よしだしんでん)」を指差す様子。関内をはじめとする横浜都心エリアは、もともと“入り海”で江戸時代に埋立てられた場所なのです。横浜市立の小学校ご出身の方は社会科の授業で一度は耳にしたことがあるかもしれません!
▲1872年(明治5年)に新橋〜横浜に日本最初の鉄道が開通!
このあたりから横浜への人の流れが、どんどんと増えていきます。
▲おっと!ありましたよ。市電のはじまり。1904年(明治37年)に、市電の前身となる「横浜電気鉄道(神奈川〜桜木町)」が開通。
▲横浜市の紋章「ハマ」!ハママークはカタカナのハとマが合わさった形です。
市内の町にいっぱいありますよねハママーク。マンホールとか電柱とかとか。。
横浜開港50周年を迎えた1909年(明治42年)に「横浜市歌」と共に制定されました。
■車両展示コーナー
横浜年表トークは止まらなくなるので一旦止めます、本題へ参りましょう。
こちらは500型の市電、1928年(昭和3年)に製造されました。館内に保存される中で最も古いかたち。車体の中央を1つの台車が支えていたため、少々揺れやすかったんだそう。戦後15両を600型に改造するなどされましたが、1969年(昭和44年)に廃車となるまで41年間活躍した車両です。
アーチ型の天井に、煌々と灯るオレンジ色のランプ。木製の内装はダークブラウン・椅子はグリーンとなっていて重厚感のあるお洒落な空間です。注意書きのデザインも可愛らしい。
また、運転席の足元には警笛をちんちん〜と鳴らすためのボタンがありました。実際に鳴らすこともできます。遠慮がちに踏んでは音が小さく出てしまうので、思いっきり踏むことがコツ!はまめぐりの動画には鳴らしている様子が収められているので音色を聞いてみてください〜😊♪
さて市電保存館には500系の他にも、時代と共にかたちを変化させた市電を見ることができます。車体を支える台車が2つになったことから安定した乗り心地となった1000型。また運転手が1人で運賃のやり取りと運転の両方ができるようになったワンマンカーの登場、さらに最新版になるにつれ、車内の電気が白色になり、床のうねりがなくなり平らになっていくことなど、どんどんと現在の電車に近い形になっていきます。一つずつじっくりみていくと他の車両との違いが分かって楽しいですよ〜!
吊り広告も当時のもの。こちらには横浜開港100周年記念をお祝いする花電車の広告がありました。このようなお祝い事の時に華やかな装飾を施された市電「花電車」が街中を走っていました。
またビッグな時計を発見!元横浜駅東口にあった大時計です。いやぁおっきい〜!
1928年(昭和3年)10月の旧横浜駅完成時から1979年(昭和54年)2月までの半世紀にわたって、時を刻んできた大きな時計。戦時中の出征兵士や戦後の戦災復興、また高度経済成長期などと目まぐるしく変化する横浜の街を見守りました。
■0ゲージ鉄道ジオラマ
ちょうど私が伺った時に「0ゲージ鉄道ジオラマ」のショータイムが始まりました!
横浜の街を背景に、市電や市バスをはじめ、京急線などの私鉄や新幹線が走ります。ジオラマ内に設置されたカメラによって撮影されたライブ映像が、大きなモニターに映し出されると、ジオラマの世界に入れた気分!臨場感あるショーです。
■歴史展示コーナー
ここから館長の北村さんにお話を伺いました!柔らかな笑顔で温かく迎えてくださった北村さん、貴重なお話を有難うございました。横浜市電の始まりから、震災や戦争を乗り越え人口増加と共に発展した様子、そして撤退。その後の市バスと市営地下鉄の歴史について知ることができる「歴史展示コーナー」をご案内くださいました。
馬車と車と市電が走っている様子。当時も様々な交通手段が活躍されていたんですね。
戦前は磯子などの海辺エリアが行楽地として人気があり、たくさんの観光客が市電を利用したんだそう。また市電では、女性の乗務員さんも大活躍。現在のCAさんのように花形の職業だったそうですよ!制服も帽子もシックなスタイルでかっこいいです。着てみたいなぁ。
昭和30年代が横浜市電の最盛期。路線網は桜木町を基点に、中区・西区・南区・磯子区・保土ヶ谷区・神奈川区などのエリアできめ細かく張り巡らされました。
その後、市電は戦争の被害に遭います。1945年5月29日に横浜大空襲が発生。関東大震災に次ぐ、市電にとって2度目の困難でした。こちらのお写真は被弾が残った市電のポール。現在は市電保存館の入り口近くに保存されています。
さて、戦後も活躍した市電でしたが、高度経済成長期などにより進んだ自動車の普及の影響を受け、徐々に路線を縮小することになっていきます。市民の足となっていた“乗り物”の世代交代がやってきました。
1972年3月末、ついに横浜市電が全廃となりました。同年12月には横浜市営地下鉄が伊勢佐木長者町駅から上大岡駅間で開業。地下鉄の歴史が開幕することとなりました。
横浜市電の歴史はお家でも見ることができます。
【横浜市電保存館 公式YouTubeチャンネル】を是非チェックしてみてください!
横浜市電保存館では、他にも魅力的なコーナーがたくさんございます。
■Nゲージ 1回100円
Nゲージでは、3種類の鉄道を走らせることができます。私は京急線の赤い電車を走らせました!一つのレバーで発車と停車の操作をします。レバーの押し具合でスピードも変わるので、私は緩急をつけながら運転しました!小さなお子様と一緒に楽しめそうです😊
■市電シュミレーター 無料
市電の運転手さん気分を楽しめる、市電シュミレーター。横浜市内の街並みを運転し、停車場にピッタリ停められるか腕試しができます。私は何度試しても2,3m手前で止まってしまう、せっかち運転手でした😂
この他にも館内には模型や当時の写真や動画が掲示されており、市電がどれだけ市民の足として活躍し、愛されていたのかが分かる資料がたくさん残されています。車両展示コーナーでレトロな雰囲気を味わえたり、歴史展示コーナーでは横浜の街についても学べるので、鉄道に詳しくない方でも存分に楽しめること間違いなしです!ぜひ、「横浜市電保存館」へ足をお運びくださいまっせ😻
最後にちなみのお話。白のワンピースとシューズは横浜元町老舗店のもの。レトロな雰囲気に溶け込めるように自前衣装を選びました。みどりのスーツは母のクローゼットから引っ張り出してきました😂 どうでしょうか、馴染めていますか?笑
こうした“なりきり写真”で遊べるところも楽しいです✌
▲北村館長にいただいたお土産「横浜市電おりがみ」:北村さん、有難うございました!
■アクセス
「横浜市電保存館」のアクセスは、横浜市営地下鉄「吉野町」駅からバスで、「滝頭」バス停から徒歩3分ほどのところにあります。(ちなみに、「滝頭」は美空ひばりさんの出身地!👀)その他にも行き方が様々にございますので、ルート検索・おでかけアプリ「my route」をご利用くださいませ!駐車場も完備されているので、お車でもぜひ。
【アプリダウンロードはコチラから】
https://www.myroute.fun/
■営業時間・ご利用案内
・開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
・休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始(12/29〜1/3)
※春休み・夏休み・冬休み期間中は月曜日も開館
・入館料金:大人(高校生以上):300円 / 3歳から中学生:100円
優待制度料金などについて詳しくはホームページをご覧ください。
■撮影協力
・取材先:「横浜市電保存館」https://www.shiden.yokohama/
・レポート:川内美月