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KAAT神奈川芸術劇場が横浜を飛び出し、県内を巡る「KAATカナガワ・ツアー・プロジェクト」。2022年の第1弾、23年の第2弾を経て、2月から3月にかけて待望の第3弾が行われる。同劇場を皮切りに横須賀、川崎、鎌倉、海老名、藤沢の5都市を巡演。第1弾で好評を博した「西遊記」のキャラクターが神奈川県の伝説や昔話の世界に迷い込む冒険譚の再演と、シリーズ新作の2作品を上演する。出演する同劇場の芸術監督・長塚圭史さんと柄本時生さんに話を聞いた。(以下、敬称略)
――芸術監督就任時から「ひらかれた劇場」を掲げています。
長塚―ツアー・プロジェクトもその一環です。劇場で待っているだけではなく各地で上演し、演劇を身近に感じてもらうための種まきです。地元にある劇場のことも知ってほしいです。過去には、公演先で行った地元のお店の人が翌日の舞台を見に来てくれたことも。そんな予想外の出会いが楽しみです。
――第一弾の作品の再演もありますね。
長塚―第一弾で思っていた以上に喜んでもらえた実感がありました。出演者には終演後、すぐに声をかけてスケジュールを抑えてもらいました。前回見た方も初めての方も楽しめると思います。
柄本―前回は、神奈川の名所が出てくるシーンはやはり受けがよかった記憶があります。知っている場所だと絵が想像しやすいんだろうなと。
長塚―地元の新たな発見もあると思います。
――長塚さん作の新作は「闇に落ちたカナガワ」という衝撃的なスタートです。
長塚―「灼熱を放つニュー国分寺七重塔」が登場します。県内各地に行きリサーチする中で、相模国分寺跡が気になって。仏教で国の心を一つにしようとする精神が面白いと、作品に重ねました。地元の逸話も基にしています。
柄本―台本を受け取った時は笑いました。ギラギラ照り返すニュー国分寺ってなんだろうって(笑)。本自体は”重低音”で、なかなかどういう意味なのか掴めない台詞もありますが、妙におかしくて。これが圭史さんの力なのかなと。
――稽古場の雰囲気はいかがですか。
柄本―圭史さんが見た風景や本を書いたきっかけを丁寧に説明してくれ、解像度が上がります。稽古場で話し合って0から1を作り上げるのも初体験で面白いです。
長塚―俳優が面白がって遊んでいるように作品を仕上げるのがいいかなと。だから新作はまだ何もなく、荒野に立っている感じです(笑)。
――神奈川の印象は。
柄本―ジャック&ベティには名画座を勉強したくて高校生から通っていました。あと、ラーメン博物館の美術が好きで今も年一で行きます。
長塚―劇場の開館の年に僕の作品を上演してから約15年通っているので、KAATの印象がやはり一番強いですね。日が沈む景色や海を見に、逗子や葉山、相模湾に行くことも好きで、作品にも”バチバチ”に生かされています。最近面白いと思ったのは大山。真鶴や鎌倉も改めて見つめてみるといいですよね。
――最後に読者にメッセージをお願いします。
柄本―演劇は観客の想像力を借りて、ジャンプするだけで場面転換できるような自由なもの。堅いイメージがあるかもしれませんが、気楽に観に来てほしいです。
長塚―シンプルながらも大いにマジカルな体験ができます。あなたが住む街の物語を楽しんでもらえたらと思います。