ゲームスポーツ 高齢者の「居場所増」に活用 市若手職員がトライアル

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タウンニュース
社会
ゲームスポーツで交流する高齢者

横浜市は、高齢者の社会参加と生きがいづくりの促進に、コンピューターゲーム等を使った対戦をスポーツと捉える「ゲームスポーツ」の活用を始めている。ボッチャやゲートボールのように普及を目指し、誰もがいつでも集まれる居場所の増加につなげたい考えだ。

市の若手職員のトライアル事業として始まった”ゲームスポーツでシニアを元気にするプロジェクト”の一環によるもので、福祉施設での体験出前講座の実施や機材貸出、イベント出展を通じ、昨年度の開始から延べ700人以上の高齢者が参加した。参加者はほぼ100%が「楽しかった」と答え、「若い頃を思い出した」「久しぶりに大きな声で笑った」と感想を話した。

多世代交流も

体験中は初対面同士がハイタッチし、会話が弾む光景が見られる他、耳の聞こえが悪い人や認知機能の低下がある人なども、参加者同士で自然とフォローし合い、助け合いながらゲームを楽しんでいる。多世代交流イベントではシニアとキッズが対等に対戦し、ゲームに世代の「ボーダー」はないと感じられたという。

若手職員によるプロジェクトは、本務と並行して推進されてきた。体を使うゲームもあるため、安全面への配慮が不可欠と、職員自ら安全マニュアルを作成して施設へ周知。また、講師として現場に出向くことで、参加者の生の声を聞き、プロジェクトの改善に活かす有意義な経験を得たという。目指すのは、ゲームスポーツをボッチャやゲートボールのように、「高齢者を元気にするツール」として地域ケアプラザなどの福祉施設に普及させること。ゲーム機が1台あれば「誰でもできる」この方法を広め、各施設がレクリエーションとして取り入れることで「誰もがいつでも集まれる居場所」を作ることが最終目標だ。

昨年度27施設で実施した出前講座に対し、今年度は機材貸出が8施設から16施設に増えるなど、施設側が主体的に取り入れる動きが加速している。担当職員は「シニア世代が新しいことにチャレンジする姿は、周りの人間も勇気をもらえる。この体験が次のチャレンジにつながり、アクティブな高齢者が増えていけばうれしい」と話す。

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