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警備サービス会社のセコム(株)の社員が9月、特殊詐欺を立て続けに阻止した。神奈川県内で今年、同社社員が防いだ詐欺事案は4件となった。
武藤勝美さんは1日、横浜駅付近の無人ATMでの作業後、電話をしながら操作をする70代の男性を見つけ、コントロールセンターの管制員・荒木裕馬さんに報告した。荒木さんの指示で声をかけたが「銀行本店の人と話しているから大丈夫」という返事に違和感を覚え、銀行のコールセンターに電話。男性が使用しているATM備え付けのオートフォンを数回鳴らしてもらい、武藤さんがオートフォンを男性に渡すと被疑者は電話を切った。連携で被害を防いだ2人は日頃から「いつか現場に遭遇するかもしれない」とシミュレーションしていたという。
今野和寛さんは12日、巡回中の桜木町駅前の無人ATMコーナーで、電話で確認しながら作業している70代の女性に気付いた。「最初は操作が分からないのかと思ったが、話している内容で怪しいと思い、『お困りですか』と声をかけた」と話す。気分を害さないように話をし、被害を未然に食い止めた。
25日には伊勢佐木署の飯塚博史署長から今野さんに、30日には戸部警察署の重岡康二署長から武藤さんと荒木さんに、それぞれ感謝状が贈られた。飯塚署長は「日頃の警備員教育のたまものだと思う。警備業の方々と連携をとりながら抑止していきたい」、重岡署長は「詐欺の手口などの知識はあっても行動に移すのは勇気がいること。未然に防いでいただき感謝している」と話した。
同社神奈川本部は2022年10月に神奈川県、神奈川県警察と「地域安全に関する協定」を締結した。以来、詐欺発覚時の連携や啓発活動、日々の情報共有など社員の意識向上に取り組む。今野さんは、「バックアップ体制が整っているので、安心して声がけができた」と振り返った。