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横浜市内で麻しん(はしか)の発生件数が増加している。6月20日時点で16件と、全国の1割近くが市内で発生。感染力が非常に高いウイルスのため、市では海外渡航が増える夏の旅行シーズンを前に、ワクチン接種歴の確認を促すなど注意喚起している。
麻しんは空気感染を主に、飛沫感染、接触感染で広がる。患者と同じ空間にいるだけで感染することもあり、「インフルエンザの10倍」ともいわれるほどの感染力だ。抗体がない人が感染するとほぼ100%発症。重症化すると肺炎や脳炎を引き起こすことがある。
感染から約10〜12日の潜伏期間を経て、発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れる。2〜3日発熱が続いた後、39度以上の高熱と赤い発疹が出るのが特徴だ。
市の記者発表によると市内では6月に3件、今年に入り16件が発生(6月20日時点)。国立健康危機管理研究機構のデータでは、全国で156件が報告されており、既に昨年1年間の発生数45件の3倍以上になっている。患者が感染したと推定される地域は国内が77人で国外が65人。エリア別ではベトナムが約51人と最多。年代別では20代が全体の34%を占めて最も多く、19歳以下が32%、30代と40代が各15%と続く。
市医療局は、「コロナ禍があけて世界的に流行っている。海外との往来が増えたのも一因」と分析する。
現在1歳児と小学校入学前1年間の2回、麻しん風しん混合ワクチンの定期接種が行われており、2回の予防接種で免疫を持っている人や一度かかった人の発症は心配ないとされる。しかし、今年に入ってワクチンの供給不足が続いていることから、医療機関では接種漏れを心配する声も。医療局の担当者は、「母子手帳で接種歴を確認してほしい。海外へ行く予定のある人は渡航先の感染情報の確認や、接種歴がわからない場合は、病院で抗体検査の相談を」と話し、罹患の疑いがある場合は医療機関に事前連絡した上で、公共機関の利用を避けて受診するよう呼びかけている。