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2023年に創立150周年を迎えた市立元街小学校(工藤雅彦校長)=中区山手町。同年11月25日には児童たちによる記念集会と式典・祝賀会が開かれた。地域一体となって行われた記念行事の様子と伝統ある同校の歴史を振り返る。
同校では「150年間の思いを一つに元街っ子〜つなげよう!まちへ世界へ未来へ〜」をスローガンに記念事業に取り組んできた。
23年6月には卒業生で油絵画家として活躍する大野愛(めぐみ)さん=人物風土記で紹介=を講師に招き「しましまアートプロジェクト」と題した作品作りが行われた。ストライプをあしらった大野さん独自の手法「シマシマ画」をもとに、児童たちは花や虹など思い思いの絵を描き、長さ4・5m、横幅10mの大作を完成させた。
10月の運動会では、聖火リレーや4年生演技の「150」の人文字、4年ぶりに復活した全校競技兼横浜山手中華学校の5年生を招待した交流競技の大玉送りなど、節目にふさわしい演目が盛り込まれた。
11月には横浜を中心に活動している「音楽劇団まっかなホント」を招き、横浜にゆかりのある『赤い靴の絵本』『青い目の人形』を低学年、高学年に分かれて鑑賞。横浜の歴史や文化を知る機会となった。
児童による運営委員会が企画や当日の司会進行を務めた記念集会が11月25日、同校体育館で行われ、全校児童で150周年を祝った。
集会では記念品=写真=が紹介されたほか、周年キャラクターである「もまっち」を活用し、児童考案のゲームや元街小に関する3択クイズが行われ「学校にあるヒマラヤスギの樹齢は?」などの問題に、児童たちは積極的に手を挙げ楽しんでいた。その後、学校の歴史を振り返る記念ムービーや、卒業生で俳優の谷原章介さんによるお祝いメッセージのサプライズ動画も。創立当初の校舎や元町商店街のモノクロ写真と現在の写真が映し出され、子どもたちは目を輝かせていた。
プログラム後半で、スクールソング『そよかぜ』を全校児童で合唱。港中学校=中区山下町=の吹奏楽部が駆けつけ、『学園天国』や映画アラジンの『フレンド・ライク・ミー』などアンコールを含め計4曲を演奏。児童たちは手拍子をしたり、体を揺らしながら先輩たちの演奏に大盛り上がりだった。
運営委員長を務めた岩下栞さん(6年)は「先輩たちに憧れそれを目指し、自分たちも努力し後輩たちに伝え、さらに受け継いでほしい。それこそが学校の歴史や伝統であると実感できた。この思いを生かし、未来につないで行こう」と話し、会を締めくくった。
元街小学校の前身は、1873(明治6)年に設置された「三到学舎」と「明衛学舎」。2年後の75年、両校が合併して「元街学校」が設立し、3度の改称を経て1947年に現在の「横浜市立元街小学校」という名称になった。
中華街を学区に持つこともあり、81年に日本語学級(現・国際教室)を開設したほか、海外の学校との交流も。読み聞かせや校外学習ボランティア、地域の見守りボランティア、「保護者ができる防災」について考える会など、地域に支えられてきたという。
そんな歴史のある同校には、140年以上にわたり子どもたちを見守ってきた3本の古木がある。市から名木古木に指定されている「柿の木」「ヒマラヤスギ」「コルクガシ」は、子どもたちにとっては母校を象徴する名木だ。
11月25日の午後からローズホテル横浜を会場に行われた記念式典・祝賀会には、小林英二中区長や地元議員をはじめ、町内会、近隣の学校、同校PTAの新旧役員・教職員など地域や学校の関係者ら約150人が出席した。前半の式典では、工藤校長や学校運営協議会の武松昭男会長のほか、山中竹春市長が会場に駆けつけ、あいさつする場面も。歴代の校長や卒業生が多数参加し、盛大に催された。
式典後の祝賀会では、小菅佳美PTA会長が「本日の会をきっかけに学校や地域がまた一つになれたことを嬉しく思います」と、コロナ禍を経て無事会が開催できたことに感謝した。
会場では記念事業の活動報告が紹介されたほか、集会同様に記念ムービーなどを上映。アトラクションでは卒業生2人によるピアノとバイオリンの演奏が披露され、最後は会場全員で校歌を合唱し、幕を閉じた。地域から獅子舞が10体寄贈されたり、各テーブルで思い出話に花が咲くなど、地域のつながりや街の温かさを感じる会になっていた。