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昨年着工40周年を迎えたみなとみらい(MM)21地区。現在、開発の進捗率は95%を超え、多様な企業、施設が集積している。同地区のエリアマネジメントに取り組む(一社)横浜みなとみらい21は今年、4つのテーマ「オープンイノベーション」「ミュージックポートヨコハマ」「アート&ミュージアム」「脱炭素」を活動の軸に据える。
オープンイノベーションとは、製品開発や技術改革、研究開発や組織改革などにおいて、自社以外の組織や機関などが持つ知識や技術を取り込み、自前主義からの脱却を図ること。研究開発拠点やスタートアップ企業、大学などが多く集まるMMでは地域企業の交流からイノベーションの創出を目指す。
その拠点の1つが、(株)京セラの研究開発部門が集結するMMリサーチセンター内にある「共創スペース」。同社とのオープンイノベーション推進を希望する企業、自治体、大学などが集まり、週に1回ほどの頻度でイベントや講演会、オンラインイベントの配信スタジオとして活用されている。約200平方メートルの広さがあり、最大150人を収容。円形状でレイアウトフリーな空間になっているため、自由なやり取りができるのが特徴だ。
同社の研究開発本部オープンイノベーション推進部責任者の大崎哲広さん(55)は「新しい出会いを通じて、自分たちの事業や研究について気づきを得る機会になります。今年からはさらにネットワークを広げていきたい」と話す。
ミュージックポートヨコハマも活動テーマの1つ。MM地区を起点に、横浜全体を音楽のまちとして活性化することを目指すというもの。
昨年9月に開業した世界最大級の約2万人が収容できる音楽専用ホール「Kアリーナ横浜」などの音楽施設をはじめ、建物の空きスペースなど、公共空間等で年間を通じたライブパフォーマンス「MMストリートミュージック」が行われる。
また新たな「知」や「気づき」と出会うきっかけにとアート&ミュージアムもテーマの1つ。
同地区内に存在する約20カ所の博物館などを活用し、新たな知識や気づきをもたらすきっかけ作りをする。子どもたちの夏休みの自由研究に活用してもらえたらと、夏仕様の博物館マップなどを準備するという。
脱炭素も大きな軸だ。同地区は2022年4月、環境省から「脱炭素先行地域」に認定されており、横浜市と地区内の商業施設、オフィスビルなどが一丸となって30年までに「民生部門の電力消費に伴う二酸化炭素の排出の実質ゼロ」を目指す。脱炭素に向けた具体的な取組として、今年1月から「ボトルtoボトル」の実証実験を開始し、ペットボトルリサイクルの循環モデルの確立を目指す。
今年3月にはMM線・新高島駅すぐの53街区に「横浜シンフォステージ」が竣工予定。高さ約158mと約90mの2棟構成の複合施設で、ヤマハ(株)が運営する大人向けの音楽教室や、音楽や楽器の新たな楽しみを発見できるという体験型「ブランドショップ」などが入る。ヤマハの担当者は「ここでしか体感することのできないたくさんの体験メニューをご用意して、訪れるたびに新しい発見をしていただける場にしたいと考えています」と話す。