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春先にはオオシマザクラやソメヨシノ、梅雨にはアジサイ、秋には木々の紅葉など、四季それぞれの風情が感じられ、シーズンには樹木を観賞したり、写真を撮影する多くの人が訪れる本牧くすのき公園。夕方には学校帰りの子どもたちの遊び場にもなり、地域の憩いの場になっている。
本牧くすのき公園愛護会は、隣に建設された集合住宅・新本牧壱番館の自治会ができた約30年前、同自治会が公園の維持・運用を請け負ったことにより設立された。
今回、個人表彰を受けた山口信正さん(76)が会長に就任した12年前は笹が生い茂り、人が寄りつかない暗い公園だったという。当時、環境部長だった井出隆さんがみかねて笹を根から刈り取り、樹木に絡んだ蔦を取り払うなど、公園を整備していった。それまで気づいていなかったが、公園の樹木はオオシマザクラだったという。その後も井出さんが中心となり周囲に多種類のアジサイを植えるなど公園の維持管理に努めてきた。
井出さんは2022年3月に83歳で亡くなった。山口会長は「私たちは井出さんに引っ張られてやってきた。思いを引き継ぎ活動を続けたい」と故人をしのんだ。
活動は月に1回、第2土曜日の朝の8時45分から9時45分。夏の暑い日差しや冬の冷たい風の中でも、毎回6人から10人ほどが集まり、落ち葉の掃き掃除や樹木の手入れ、ごみ拾いなどを行う。紅葉のシーズンは枯れ葉も多く、週に1回は掃除をしないと追いつかないという。活動外の時間にも山口さんがメンバーに声をかけ、常にきれいで居心地の良い公園となるよう力を注ぐ。
取材した12月の活動日には9人が集まり、約1時間で50袋以上の枯れ葉を集めた。月に1度集まり、地域の情報を教え合ったり話をしながら公園の手入れを行う活動日は、会員同士のコミュニケーションの場にもなっているという。
課題は会員の高齢化や活動する人数の減少。自治会の定例会で子どもを含めて参加を呼びかけている。山口会長は就任当時、植物や公園に興味はなかったという。「今は公園の管理が生活の一部になっている。引き継いでくれる人がいたらと思うが、自分がやれる限りはとことんやっていきたい」と話している。