ジャズ喫茶ちぐさ 野毛で創業90年 ミュージアム 工事大詰め

更新日:

タウンニュース
社会
「ミュージアムちぐさ」の完成予想図=山本理顕設計工場提供
地下に再現される旧ちぐさ=森日出夫氏撮影

現存する日本最古のジャズ喫茶「ちぐさ」=中区野毛町2の29=が今年12月で創業90周年。再出発に向け「ジャズミュージアムちぐさ」の建て替え工事が大詰めを迎えている。地下に旧ちぐさを再現した博物館、地上にオープンステージを設置する予定だ。

以前の店舗は、建て替えのため2022年4月に一時閉店、ジャズミュージアムの建設が進められてきた。今年12月のオープン予定だったが、一部工事の遅れが発生し延期となっている。

2012年に再開

ジャズ喫茶ちぐさは1933年、日本のジャズの普及と若いミュージシャンの育成に尽力した吉田衛により、中区野毛町1丁目23番地で創業。45年の横浜大空襲で店舗と保管されていた6千枚以上のレコードが焼失するも、2年後に再起。2007年に地域の開発計画に伴い閉店を余儀なくされるが、ファンや常連客などの協力を得て、(一社)ジャズ喫茶ちぐさ・吉田衛記念館が立ち上がり、12年に現在の野毛町2丁目94番地に店舗をよみがえらせた。今年、開業90周年と老朽化を理由に建て替えることに。施主である同社団は、クラウドファンディングを実施し22年4月から23年12月10日現在までに約758万円が寄せられている。今年5月に起工式が行われた。

ミュージアムは、地下1階、地上1階建て。地下はアナログレコード3千枚を楽しめるオーディオシステムとピアノを備えたカフェ&バーとして空襲後に再起した「ジャズ喫茶ちぐさ」の内装を再現。また、メタバースを活用してスマホ等で当時の店舗内を疑似体感できる仮想空間を予定し、リアルとバーチャルの”ハイブリッド・ミュージアム”を目指す。

地上1階は道路に面したオープンステージとなっており、ジャンルにこだわらず若者を中心とした演奏活動ができる場所を提供する。地下にあるグランドピアノを昇降機で持ち上げ、地上のステージでも使用できるようにするという。

ジャズミュージアムちぐさ館長の筒井之隆さんは「吉田衛の思いを継承し、入りきれない素材や思いはメタバースで再現するハイブリットミュージアムです」と話す。

またオープンが延期となったことを受け、同社団は「できる限り早い時点で完成のお知らせができるように努めます」とコメントしている。

このニュースをタウンニュースで見る
SHARE