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中区初黄・日ノ出町地区の環境改善に行政や警察と共に取り組んできた「初黄・日ノ出町環境浄化推進協議会」が11月14日で設立20年を迎えた。それを記念し同27日、京浜急行線の高架下にある施設で式典が開かれ、関係者ら約90人が集まった。協議会4代目会長の伊藤哲夫さんは「今も気は抜けない。まちづくりを続けていく」と話していた。
京急線日ノ出町駅から黄金町駅までの高架下周辺は、2002年ごろから違法風俗店が約250店舗以上密集し、子どもが歩けるような環境ではなかった。
その異様な状況に危機感を持った住民らにより03年に「初黄・日ノ出町環境浄化推進協議会」が発足。行政や警察などへの働き掛けを強化し、05年1月には神奈川県警察による違法風俗店一斉摘発の「バイバイ作戦」が行われた。その後、高架下に警察の拠点が設けられ24時間体制で警備が行われてきた。
現在は、違法風俗店だった小規模の店舗や京急線高架下に整備されたスタジオなどをアーティストの制作・発表の場として活用。アートによるまちづくりが進められている。
式典であいさつした協議会の伊藤会長は「街がどんどん浄化されていった。警察・行政・住民が三位一体となって取り組んだ」と振り返った。また「隙があればまた戻してやるぞという空気を感じる。手は抜けない」とパトロールなどを継続する意向を示した。
長年にわたり同地区を担当した警察官や中区役所の元職員、住民ら6人による懇談会も行われた。来街者への徹底した職務質問や、宅地建物取引業法や建築基準法などあらゆる法令を駆使して違法風俗店を手配するブローカーなどを検挙した事例などが紹介された。
生まれも育ちも同地区の中澤秋子さん(88)は「戦後、疎開から戻ってきたころから街の雰囲気がおかしいと感じていた」と吐露。「こんなに風通しが良い街になるとは思いもよらなかった」と話していた。
同協議会は毎月27日の防犯パトロールをはじめ、高架下の活用検討や商店会と連携したイベント実施、広報媒体による情報発信などを継続的に行っている。