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(公財)帆船日本丸記念財団は10月9日、国指定重要文化財である帆船日本丸の「総帆展帆」400回を記念した式典を横浜みなと博物館隣の訓練センターで行った。帆を広げ続けた展帆ボランティアへの感謝が伝えられたほか、同船の歴史を振り返った。
全ての帆を広げる「総帆展帆」は、現役当時の姿を再現し多くの人に見てもらうことを目的に1985年から約40年間、定期的に実施されてきた。帆船日本丸には総帆数29枚(畳1245枚分)があり全て手作業で広げられる。ボランティアの登録者数は2300人を超え、これまで延べ4万1千人以上が作業に参加したという。
記念式展には山中竹春横浜市長や国土交通省の水嶋智国土交通審議官、展帆ボランティアなど約150人が出席。帆船日本丸記念財団の上野孝会長からボランティアの代表者らに感謝状が贈呈された。
展帆を担ってきた「かもめ会」を代表してあいさつした73期、バーナード・ビリングスレーさんは「総帆展帆に関われたことは私の人生の誇りです」と喜びの言葉を伝えていた。
乗船実習ができる大型船として国費で造られた日本丸。1930年に神戸の造船所で進水し、今年で93歳を迎えた。
現役時代の姿を維持するために、年に1回約1カ月かけて船体の塗装や帆を取り外した修繕などをする保存事業にも力を入れている。
かもめ会13期の関美恵子さんは「このきれいな姿を保存して、100歳を迎えられるようにしていきたい」と話した。
同船はこれまでに約1万1500人の船員養成に貢献。戦後は引揚者の帰還輸送や遺骨収集などにも従事した。引退後は、保存地として横浜を望む83万人を超える市民の署名が集まり、83年に誘致が決定した。