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横浜市と関内・関外地区活性化協議会は、9月21日から9月24日にかけて、山下公園で自動走行モビリティを活用した実証実験を実施した。今回活用された「iino」はゲキダンイイノ合同会社が開発した、時速5kmで走行する歩行者と共存可能な自動走行モビリティ。最大8人乗り1基、最大6人乗り1基、最大3人乗り1基の計3基が山下公園内の2つのルートを走行した。
移動する際は通行人を避けたり、周囲の様子に気を配りながらとなり、ゆっくりと景色を楽しむことができない場合も多い。その点、歩行速度で走行する「iino」では、目の前に広がる横浜の海や横浜ベイブリッジ、行き交う船など、横浜ならではの街並みを眺めながら移動が可能だ。
走行のルートがマッピングされており自動で走行し、通行人や障害物の近くを通るとセンサーが反応。速度を緩めたり停止するため、安全性においても補完されているという。
試乗後は乗客に満足度や安全性についてのアンケートを実施した。「初めてゆっくり景色を見ながら移動できた」という声が多くあがったという。また、高齢者や、赤ちゃんを抱っこした親など、長い距離を歩いて移動することに不安を感じる人たちも試乗した。市内に住む女性は「公園内は広くて来てもすぐに帰ってしまうが、久しぶりにゆっくりできた」と話した。
今回の実験を共催した、公共インフラのあり方や空間の新たな活用方策を調査・研究することを目的に設立された任意団体「ParkLine推進協議会」の田中大策さんは「横浜の特長である水平線の景色を楽しんでいただけたのでは。みなとみらいエリアまで広げてほしいという声もあった」と話した。
市は今後も横浜都心臨海部における回遊性の向上へ取り組むという。市の担当者は、「今後は臨海部から街中へと展開し、横浜の街をさらに楽しんでもらいたい」と話した。また、モビリティの発着拠点には環境に配慮した人工芝やベンチなどを敷設し、滞留性の検証も行われた。