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横浜市が、増加する空家への対策として相談体制の強化を進める。既存の窓口に加え、新たにNPOや社団法人等との連携を検討し、物件の有効活用や売却などを一括で相談できるような窓口を増やし、放置して危険になる前の早めの相談を呼びかけていく。
今回の相談体制強化は、国の特措法改正を受け検討しているもの。市会9月議会でも条例の一部改正が報告された。
市によると、市内の一戸建ての空家戸数は2018年時点で2万200戸(一戸建て住宅総数の3・2%)。そのうち、腐朽・破損ありの一戸建て空家は6400戸。
今回の特措法改正では、放置すれば周囲に著しい悪影響を及ぼすおそれのある物件を「管理不全空家」と指定し、指導・勧告のほか、固定資産税の住宅用地特例(1/6等に減額)を解除できるようになる。
しかし、市の担当者は「改正は指導・勧告や税特例の解除が目的ではなく、放置して危険になる前に撤去するなど、早めに適切な管理をしてもらうことが目的」と話す。そのために、市が重要視するのが空家に対する相談体制の強化だ。
市内では、一戸建てに住む高齢者のみ世帯数が18年時点で戸建て世帯全体の3割を超えるなど、年々増加。将来的な空家予備軍として危惧されている。市は市住宅供給公社と協力し、「空家の総合案内窓口」を設置しているほか、定期的に市内で相談会を開いている。
また、市は今後、物件の有効活用や売却、相続などを一括で相談できるようなNPOや社団法人等との連携を検討し、更なる相談体制の強化に務めていく。担当者は「将来に家族や近所に迷惑をかけないよう、元気なうちに『住まいの終活』に取り組んでほしい」と呼びかけている。
空家対策に詳しいNPO法人横浜市まちづくりセンターの月出正弘理事長は「空家を増やさないためには売却や撤去などで流通させるか、そのままで有効活用するか。まずは家族間でしっかりと話をし、同意を得ることが大切」と話した。