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横浜市は、下水汚泥から回収したリン(以下、再生リン)の肥料への利用に向け、横浜農業協同組合(JA横浜)、全国農業協同組合連合会神奈川県本部(JA全農かながわ)と連携協定を結んだ。自治体と農協、全農の3者による連携協定は全国初。
協定は、下水汚泥から回収した再生リンを使い、肥料の国産化・安定供給に貢献することを目的に結ばれた。
下水汚泥の活用は、物価高騰が続く中、輸入に頼る肥料の国産化を推進させ、コストダウンさせることが狙い。昨年10月に閣議決定された国の総合経済対策にも盛り込まれている。
横浜市はこうした状況を受け、再生リンの活用について、市内にも本社を構える総合企業と連携、国交省が進める下水道革新的技術実証事業に共同提案し、2023年2月に採択されている。
7月27日の締結式には山中竹春市長、柳下健一JA横浜代表理事組合長、根本芳明JA全農かながわ県本部長が出席。協定書にサインした。
これにより、横浜市は採択された事業を活用し、下水汚泥から再生リンを回収する施設を鶴見区の北部汚泥資源化センターに新設。年間40トンの再生リンを回収・供給する。JA横浜は、市内農家の視点を取り入れながら、再生リンを配合した肥料の試験や流通、ブランド化、普及啓発に取り組む。肥料事業を担う全農は、再生リンを配合した肥料の開発、製造などを担当。また全農が連携することで、製造量次第で県内外への流通も視野に入る。
再生リンの回収施設は23年度中に完成の予定。24年度から再生リンを配合した肥料の試験製造を開始する。横浜市では27年に国際園芸博を控えており、締結式で山中市長は「グリーンエキスポ(国際園芸博)で、再生リンの肥料を活用した循環型モデルを発信していきたい」と期待を寄せた。