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「横浜市電」が廃線になってから50年―。市電を知らない世代が増えるなか、その記録を後世に残そうと中区元町在住の森田満夫さん(76)=人物風土記で紹介=が撮りためた写真をまとめた『ヨコハマに走っていた路面電車〔横浜市電〕』を、自費出版した。
市内を走る路面電車は約120年前の1904年、横浜電気鉄道が開通させたことが始まり。21年に市営になり、警笛音等から「ちんちん電車」と呼ばれ約50年間市民の足として活躍したが、その役割を地下鉄・バスに託し、72年に全廃した。
元町生まれの森田さんは幼い頃から自宅近くを走る市電をよく眺めていたといい、習い事や通学などで市電を毎日利用するようになるとさらに魅了された。元々は高校時代からの趣味である市電模型を作るための資料として撮影していたもの。同書では、自身も「数えきれない」というほど膨大な写真の中から42枚を厳選。撮り始めた61年頃から廃線直前の72年まで、当時走っていた全ての形式の市電が見られるほか、市電の歴史をまとめたオリジナルの年表や路線図などを載せたのもこだわりだ。中には車庫で撮影した貴重な写真や運転手の横顔もあり「当時は撮影に行くと気さくに入れてくれて。いい時代でしたね。運転手は模型屋で仲良くなった本牧神社の近くに住んでいた加藤さん」と懐かしむ。
今年5月に発行し、友人らに配布したところ評判に。300部発行し、既に半分以上が売れているという。周辺の市街の景色も含め「鉄道ファン以外も懐かしがって手に取ってくれるようです」と森田さん。販路を広げたいと模索中だが、現在は元町の高橋書店のみの販売となっている。
税込790円。(問)高橋書店【電話】045・664・7371(12〜15時・16〜18時営業、月曜休み)