専門家「望む状況ではない」 女性就業「増」も課題残る 男女共同参画社会

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タウンニュース
社会
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6月23日〜29日は「男女共同参画週間」として、ジェンダー平等への関心を高める取り組みが各地で行われる。横浜市の市民アンケートでは「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考えに反対する回答が63・8%と増加し、女性就業者数も増加傾向にある。一方、専門家は「多くの女性が望む状況が実現しているわけではない」とみている。

固定的役割分担に反対64%

市のアンケートは2年に1度実施しているもので、今回は市内の18歳以上を対象に2022年6月〜7月に実施(標本数8000/回収1542票)。「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考えに対して、「反対」「どちらかといえば反対」の合計は男性で59・4%、女性で68・0%となり、全体では63・8%となった(前回比10・4ポイント増)。

女性の就業支援などに取り組む男女共同参画センター横浜の担当者は「男女の性差に起因する悩みについて、SNSなどを通じて『私だけじゃないんだ』『やっぱりおかしいよね』という声が共有されやすくなっている」とする。

また「出版物などをみても、ジェンダーに関する書籍は増えており、近年社会全体の関心の高まりを感じる」とする。

「働かざるを得ない」も多く

市内の女性就業者数は1990年に55万人だったのに対し、2020年には87万人と30年間で約32万人増加(2020年国勢調査)。実態としても「妻は家庭」ではなくなりつつある。

一方、「これらの数値を見誤ってはいけない」と警鐘を鳴らすのがフェリス女学院大学の金香男教授。「グラフで見ると、女性の就業者数の増加は非正規雇用者数の増加と一致する」とし、「自己実現というより、経済的な理由で働かざるを得ないケースが多いのが実情」とみる。

同大の山本千晶准教授も「男女平等という意識は高まっているが、制度などの実社会が追いついていない。現状では、むしろギャップに悩まされる女性が多いのでは」と指摘する。

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