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新型コロナの影響で生活に困窮した人などに無利子で資金を貸し付けた国の「特例貸付制度」。窓口となる神奈川県社会福祉協議会によると、今年1月から返済対象となる約16万7千件の申請のうち、実際に返済が始まったのは3割強に留まった(4月末時点)。
2020年3月に始まった特例貸付は、「緊急小口資金」(最大20万円)と「総合支援資金」(最大180万円)の2種類あり、新型コロナの影響で収入が減少したことが条件。昨年9月まで、無利子・保証人不要で1世帯あたり最大計200万円借りることができた。
県社協によると県内の貸し付けは約23万8千件で総額約878億8千万円、横浜市内は約8万5千件で324億5千万円だった(※県社協扱いは除く)。住民税が非課税の世帯などは申請すれば返済が免除され、収入状況などによって猶予する制度もある。
このうち1月から返済となる対象は、特例貸付が始まってから21年3月までに申請された緊急小口と総合支援の初回貸付の約16万7千件。4月末現在で、返済免除は約5万件で、すでに返済を終えた件数などを除くと、返済義務が生じたのは約11万2千件となる。
この中で実際に入金があったのは5万3千件(市内は推計約1万6千件)で、全体の3割強だった。免除や猶予手続きがないまま返済されていないケースは約6万件にのぼる。市内の件数は推計で約3割を占めるという。
厚生労働省はこうした状況を受け、5月に返済免除の対象拡大を決定。課税世帯でも、様々な支援につなげた上で「返済は困難」と判断されれば免除となる。
県社協担当者は、免除や猶予について再度、周知を図るとともに、「本当に困っている人を把握し、速やかに自立支援などにつなげるかが重要な役割になってくる」と話す。
今後は個人への聞き取りで状況を確認し、個々のケースに合わせた対応を検討するとした。
一方で返済能力があるにもかかわらず返済しない人も一定数いるとして、「状況確認を行い、強く償還指導していく」と力を込めた。