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防火・防災に関する知識などを身に付ける「家庭防災員」研修の修了者数が、この10年で半減している。横浜市は4月から受講対象を、自治会町内会の推薦がない人にも拡大。新たに作るウェブサイトも含め、多くの市民に災害へ備えた知識などを広げたい考えだ。
家庭防災員は1969年から続く横浜独自の制度。自治会町内会の推薦を受けた満15歳以上に対し、各消防署が研修を実施する。主婦層が中心の活動として始まったが、現在は性別は問わない。
研修は防火・救急・地震・風水害・災害図上訓練の5区分で、計10時間程度。各署が状況に応じて1日、あるいは複数回に分けて行う。座学や実技を通じて初期消火や応急手当などを学び、過去の委嘱者と修了者を合わせて延べ20万人以上が家庭防災員となってきた。
しかし、近年は自治会町内会からの推薦が減り、年間の修了者数が減少。2021年度は1121人で、12年度の2440人と比べ半減した。
市消防局によると推薦人数に定めはないが、実際に推薦がない例が増加。また、重複して研修を受ける受講者の固定化や、修了者が地域で行う自主活動の減少も進む。市内のある自治会長は「民生委員などと同様に、毎回の推薦は厳しい。研修を受けた人も高齢となり、活動も難しくなっている」と話す。
市は4月中に防災に関する知識を学べる新たなウェブサイト「よこはま防災e-パーク」を創設予定。この中に家庭防災員と同等の知識が得られる内容を盛り込むため、同局では家庭防災員の新規募集を停止する考えもあった。
ただ、推薦への負担の声がある一方、一部の自治会町内会から「地域防災の担い手につながる」と継続を求める意見も。そこで次年度からは推薦がない人の応募も受け付ける形で募集を続ける。
新たな募集は、各署が随時自治会町内会を通して案内する。同局担当者は「修了者が地域で積極的に活動している例もある。よこはま防災e-パークと両輪で、年齢を問わず自助・共助の意識を高めることにつながれば」と話した。