山本周五郎の記憶、一冊に 本牧の有志が全面協力

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制作に協力した団体の松野団長(中央)。会員の大久保さん(右)と並木紘子さん

晩年まで21年にわたり本牧に暮らした文豪・山本周五郎。その足跡を記した記念本が3月10日に出版された。周五郎にゆかりのある本牧の有志らが制作。昨年3月の顕彰記念板に続き、地域に本牧との縁を周知するとともに、新たなファンづくりにつながればと期待する。

出版された本『山本周五郎の記憶・横浜の光と影を愛した文豪』は、AB判(210mm×257mm)でオールカラーの69頁、税込2640円。「写真嫌いでへそ曲がり」と評されていた周五郎の秘蔵写真がふんだんに使用されている。またいとこにあたる秋山青磁さんによるものも多い。同書は横浜市内書店などで購入できる。

制作を手掛けたのは、同書出版を機に立ち上がった山本周五郎記念事業団。周五郎の孫の妻である松野由紀子さん=中区本牧元町在住=が団長を務める。また、出版に向けて本牧地域の有志や協力者をつないだのが大久保文香さん=人物風土記で紹介=だ。出版社を経営していた大久保さんの父親(秋朱之介)の紹介で、周五郎は1946年に本牧に転居。その後、中区三之谷の大久保さんの自宅の離れを仕事場にしていた。

作品周知の活動も

大久保さんの娘が経営する会社に関わる税理士の縁で、歴史探訪社=鎌倉市=から出版の提案があったのが昨夏。三之谷交番前交差点近くに顕彰記念板が建立された後だった。原稿は大久保さんを含む4人が執筆。また『泥棒と若殿』が挿絵入りで収録されている。

松野さんや大久保さんをはじめ7人で本牧周五郎会も結成。ファンの裾野を広げる活動を行っていく。賛助会員には周五郎の大ファンという落語家の桂歌助さんや、『山本周五郎の妻』を公演した横浜夢座の五大路子さんが名を連ねる。

大久保さんは「ファンにはたまらなくうれしい本。また知らない人には周五郎の入口にもなる」と話していた。

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