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横浜市は2月に開かれた防災会議で、東日本大震災後の2013年に設定した大規模地震を想定した減災目標を一部見直した。10年前の被害想定で57万7千人とされていた避難者数を40%減少させる目標は達成できる見込みが立ったとして目標値を上方修正。今後5年間でさらに15%の減少をめざす方針だ。
市の防災計画は国の定める災害対策基本法に基づき昭和38年度に初めて制定された。現在の減災目標は東日本大震災後に設定。「元禄型関東地震(M8・1)」が発生した場合を想定し、「被害抑制」「混乱抑制と市民の命を守る」「被災者支援と早期復興」といった3つの基本目標と9つの目標が定められている。
今回、見直されたのは「被害抑制」に関する部分。この中には【1】「死者数50%減少(約3260人から約1630人減少)」【2】「避難者数40%減少(約57万7千人から約23万800人減少」【3】「建物被害棟数(全壊・焼失)50%減少(約11万2千棟から約5万6千棟減少」の3つの目標が掲げられ、今年度末までの達成をめざしていた。
このうち【2】の避難者数減については今年度末時点での目標達成率を94%と試算。「当初目標をほぼ達成できる」と判断し、目標を上方修正。15%上積みした55%減を今後5カ年の新たな目標として、来年度施行する防災計画に盛り込んだ。
市担当は「住宅耐震化や各家庭での備蓄、水道管の耐震化が進んだことが大きい。今後、各家庭での備蓄、水道管の耐震化をさらに進め、新たな目標到達をめざす」としている。
一方で死者数と建物被害については達成率が6割にとどまった。それぞれ道路拡幅や延焼遮断帯の形成など火災対策の遅れが要因で、2項目については目標値を据え置く。避難や延焼防止に有効な道路を指定し、集中的な道路拡幅や沿道建物の建て替えを促進するなど新たな施策も講じる考えだ。