更新日:
年頭にあたり、本紙では黒岩祐治知事にインタビューを行った。黒岩知事はウィズコロナを基調とする施策推進を改めて強調するとともに、物価高対策などに意欲を示した(聞き手・熊坂淳)。
――県内経済の回復が課題になっています。
「長引くコロナ禍に加えロシアのウクライナ侵攻も影響し、原油高、物価高、円安など生活や経営にとって非常に厳しい状況が続いていますが、我々は経済を回しながらコロナ対応との両立をめざすウィズコロナ策を模索しています。この間『かながわPay』や商店街が実施するプレミアム商品券発行事業に対する補助などの消費喚起策や旅行支援などに取り組んできたほか、燃料高ということで特に貨物運送業で仕事をされている方に対し直接的に支援する施策で対応してきたところです。そのほか融資を受ける際に必要な信用保証料の全額を負担する『原油・原材料高騰等対策特別融資』も設けました。生活困窮や経営悪化を拡大しないよう、引き続きスピード感をもって対応していきます」
――『神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例〜ともに生きる社会を目指して〜』が4月から施行されます。
「2016年の津久井やまゆり園事件を受け、県はこのようなことが二度と繰り返されないよう県議会とともに『ともに生きる社会かながわ憲章』を策定し、その理念普及に全力をあげてきました。しかし、障害者支援施設では、周りの人や自分を傷つける等の理由で障害者が居室に長時間閉じ込められるなどの虐待がありました。その行為には、自分の気持ちを上手く表せないだけで理由があります。当事者目線に立った支援が大事だと改めて痛感しました。当事者目線の障がい福祉を推進し、ともに生きる社会の実現を目指して当事者の皆さんからご意見を伺い、条例を制定しました」
――横浜市など県内3政令市は特別自治市を目指しています。
「一番大事なことは県民目線に立って考えることだと思います。住民の皆さんが神奈川県から独立したいと思っていらっしゃるなら何の反対もしないのですが、そういう声が高まっているのだろうか、と思います。それよりも、県と政令市が連携・協調してやっていく方が、はるかに住民の皆さんにとっては意味があると、私は思います」
――就任以来太陽光発電を推進してきました。
「私が知事に就任したのは東日本大震災の直後で、原子力に頼り切ったエネルギー体系の見直しと太陽光発電を訴え推進してきました。県では住宅所有者向けに初期費用ゼロ円で太陽光発電を設置できる『0円ソーラー』を打ち出しており、電力不足が課題になる今、改めて太陽光発電の設置・普及を図っていけたらと思います」
――東京都や川崎市で太陽光パネル設置義務化の動きがあります。
「今の段階では皆さんが『脱炭素』を『自分事化』として捉え、設置しようという気持ちになってもらうことが大事だと考えています。検討はしていますが、直ちにやるということは考えていません」
――県民の皆さんへの新春メッセージを。
「コロナとの闘いも必ず出口にということでしょうから、たまったエネルギーを爆発させ、夢をもってパワフルにいく、そんな1年にしていただきたいと思います」