寿町の歴史まとめ本刊行 地域活動の当事者がつづる

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本をPRする大友さん(右)と徳永さん
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中区寿町の歴史をまとめた本『横浜寿町〜地域活動の社会史〜』が昨年12月に刊行された。寿町の形成と地域を支えた人々の活動の軌跡を当事者自身が執筆している。

横浜市ことぶき協働スペースを拠点に、寿町で支援活動に長年従事してきた人たちを中心に構成される「寿歴史研究会」が多数の記録や資料をもとに編集。終戦直後の1945年から2022年まで77年間の寿町の経過を、「俯瞰的かつ通史的」に紹介している点がポイントという。

同書では、生活支援相談や交流の場である寿生活館や寿福祉センター、アルコール依存症の人のサポートを行う寿アルク、住民懇談会、自治会などに関わってきた計18人の書き手が、それぞれの視点で実体験をもとに文をつづっている。

日雇い労働者の街から福祉の街への移り変わりや生活者の様子、市民団体の支援、地域活動の取り組みなど、上下巻あわせて全9章、約650頁で構成。年表も作成し、時代変遷が分かりやすいように工夫を凝らした。

次世代へ継承

寿歴史研究会は21年3月に開催した「ことぶき協働フォーラム」で、ゲストとして呼ばれた加藤彰彦さん(81)、大友勝さん(75)、村田由夫さん(79)が30数年ぶりに再会したことをきっかけに発足。「寿町に古くから関わっているメンバーで、寿町の地域活動の記録をまとめましょう」と意気投合し、活動がスタートした。その後、行政機関の職員や大学教授、作家などがメンバーに加わり、計9人の研究会となった。

同書は約1年半かけ制作。生活者や支援者の高齢化が進み、実体験やこれまでの活動を伝えられる人が少なくなる中、歴史と地域活動の歩みを次世代へ残し伝えていく思いで作ったという。大友さんは「これからの街づくりのヒントになると思う。行政関係者をはじめ、それに携わる多くの人に読んでもらいたい」と話した。

A5判。出版は社会評論社。上下巻(下巻は1月刊行)、各税込2860円。注文は専用フォームから。問い合わせは同会事務局の徳永緑さん【電話】045・323・9019(平日9時〜17時)。

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