エスカレーター 「立ち止まって」啓発続く 市、成果を一部で実感

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社会
「立ち止まって」のポスターがある地下鉄横浜駅

鉄道駅などのエスカレーターの乗り方について、自治体や鉄道事業者が「立ち止まって乗って」と呼び掛けを続けている。昨年、埼玉県が全国で初めて立ち止まることを義務付ける条例を施行する中、横浜市では安全利用を呼び掛け続けてきた成果が庁舎内で感じられるとしており、引き続き広く訴えていく。

駅や商業施設のエスカレーターでは、左側に乗る人が立ち止まり、空いた右側を歩く人の姿が見られる。この「片側空け」は慣習だが、歩く人と立ち止まっている人が接触する危険性がある。

エスカレーターの製造メーカーが加盟する一般社団法人日本エレベーター協会が2021年度に行った調査では「エスカレーターを歩行してしまう」とした人が64%、「人やかばんとぶつかった経験がある」と回答した人が46%だった。

歩く人約3割

本紙が平日午後6時台に横浜駅のJR線、東急東横線・みなとみらい線の階段に隣接している4カ所(上り3カ所、下り1カ所)で各10分間調査をしたところ、エスカレーターを歩いて進んでいた人はいずれも全体の3割前後だった。

横浜市はこれまで、鉄道会社の啓発活動に参加するなどして安全利用を訴えてきた。エスカレーターの歩行が原因の事故件数は把握していないというが、安全利用を啓発する市健康福祉局は「障害者関係団体から『利用中にヒヤッとしたことがある』という声は聞く」と話す。障害者の支援者は「手が不自由なために、右側にしか立てない人がいる」と説明する。

昨年10月、埼玉県が利用者に立ち止まることを義務付ける条例を施行。施行前の21年度に行った県民調査では「駅で日常的に立ち止まって利用した」人は34・4%だったが、施行後の今年度は43・3%に増加した。

横浜市によると、約6千人が勤務する市庁舎では職員有志が呼び掛けなどを続け「出勤ピーク時に庁舎内のエスカレーターで歩かず、2列に立ち止まることが浸透してきた」と意識の変化が感じられるという。その上で「様々な機会を通じて安全利用の啓発を続ける」と庁舎内の成果を外部につなげたい意向だ。

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