野毛にスタバ? 初の立ち飲み横丁

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1階フロアで新澤社長。手作りした横丁に愛着もひとしお。「3年後、泣いちゃうなって思いました」
ノスタルジックな昭和レトロな雰囲気に道行く人が次々と引き寄せられていた

「最近野毛に”スタバ”ができたらしいよ」。そんな噂を聞き「コロナでしばらく行っていない間に、そんなお洒落エリアになったのか!?」と驚いた呑兵衛記者が、早速調査を開始した。

「閉店まで残り○○○日」

現場は日ノ出町駅から1、2分ほど。「野毛のスタ場」と書いてある。1階は焼鳥、イタリアン酒場、まぐろ出汁の海鮮おでんの3店舗が営業する「横丁」だ。全席立ち飲みで、100円〜手頃なつまみがそろい、商品と交換で支払うキャッシュオン形式。横丁内であれば他店のメニューを頼んでもOK。2階はフードコートのようなフリースペースでセルフドリンクが設置され、1階から持ち込みもできる。「野毛の飲み始め(スタート)の場にして欲しい」という思いと、「立ち飲み(スタンディング)場」の2つをかけて「野毛のスタ場」となったとか。やっぱりお洒落系カフェではなかった!

そして入口には「ビル解体まで残り○○○日」の看板も。実は築50年以上のこのビルは、3年後に解体されることが決定しており、9月17日のオープンと同時に閉店日までのカウントダウンが始まっているという、何とも珍しいお店なのだ。

店づくりはDIYで

運営する(株)Omnibus(オムニバス)=港南区=の新澤聖樹社長(46)は、野毛の横丁の仕掛人だ。2017年に地元・上大岡で横丁を手がけたのが始まりで、今年4月に「裏野毛横丁満天ホール」を開店するなど、市内7つの横丁をプロデュースしてきた。

「3年間限定だから店づくりに予算をかけられない」と、6月末から9月頭までの約2カ月半で、基礎工事から建具の製作、壁の塗装まで、テナント店と協力しながら一から全てDIYで作り上げたという。

野毛の街を元気に

新澤さんプロデュース以外のものも含めて、現在野毛には8つの横丁が存在する。「一時期より客足は戻ったが、平日や夜22時以降はまだ厳しい。まずは野毛の立ち飲み屋が元気にならないと」「最初の1軒が決まっていれば飲みに行きやすいし、1杯飲みながら次の店を考えてもらえる」。新澤さんが横丁を増やし続ける背景には「野毛や横浜の街を元気にしたい」という思いが一番にある。「物価高が苦しい今、お客さんに安く提供したい」という考えから、今回のコンセプトでもある「立ち飲み」の発想も生まれた。

しかし人気店になり得る要素が沢山あるのに、3年間での閉店はもったいなのでは?と問うと、「期間限定だからこそ、今行かなければと、来てもらえる」と新澤さん。「あと余力を残して引退するスポーツ選手みたいに、惜しまれつつやめるのもいいじゃないですか」。10月20日現在、閉店まで残り954日-。

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