更新日:
SDGsの基本理念「誰ひとり取り残さない」をテーマにした小論文コンテストの作品募集が10月1日からはじまった。2020年のコロナ禍にスタートし3年目。趣旨に賛同する高校生や大学生など、若年層を中心とした約65人の実行委員会は、応募を呼びかけている。
主催は西区西戸部町のNPO・野毛坂グローカル(奥井利幸代表)。代表の奥井さんは、2015年に国連サミットで採択された持続可能な開発目標であるSDGsの基本理念「誰ひとり取り残さない」を重視する。
コロナ禍で社会活動が大幅に制限されていた20年の9月に「新型コロナで取り残されそうな人」をテーマにしたオンラインイベントを実施。そこでの気づきから、「取り残される人」の視点でSDGsを改めて考えてもらおうとコンテストを企画した。
同年実施の第1回は、時間が限られるなか32人が応募。その取組が新聞などで紹介されたこともあり、昨年は15倍となる480人の応募があった。大学教授や社会福祉協議会の関係者、ジャーナリストなどからなる審査委員が大賞や特別賞などを選出するものの、奥井さんは応募作品のすべてをウェブサイトで公開してきた。「全作品をリスペクトしています」とその理由を説明する。
また著作権について、主催者に帰属させることは「一種の搾取」と考え、応募者本人に属している点もこだわりだ。
これまでの作品には、応募者本人がLGBTQ+(性的マイノリティ)、障害者、外国人であることにより、住みにくい社会になっているという訴えが約2割。つらい思いをした、友人がつらい思いをしたというような経験に基づく社会への提言が約4割。また、ジェンダー問題を取り上げた作品が相当数あったという。
昨年応募した安藤結香子さん(19)=横浜国大2年=は、中高生時代の友人が、日々、親から威圧的な叱責を受けていたことを取り上げ、子どもに安全で心理的にも抑圧のない環境が必要と訴えた。今年は実行委員会の共同実行委員長務める。「日ごろから感じていた思いを言語化することで、その課題を客観視することができた。だから、あまり固く考えず、書いてみてほしい」と話した。
応募資格は今年4月1日時点で25歳以下。応募締切は12月31日となっている。