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公共建築物の規模や数などの適正化を図るため、横浜市は9月末に「公共施設等総合管理計画(素案)」を策定した。老朽化が進み、2065年までに約7割の施設で建て替えの検討が必要となる見込み。現状のサービスを保ちながら計画的に再整備を進め、増加し続けてきた施設の総床面積を65年度に21年度比で1割縮減することを目指す。
公共建築物とは学校や市営住宅、地区センターといった市民利用施設などを指す。戦後から人口増加に応じて整備され昨年度末時点で市内の施設数は約2300、総床面積は約862万平方メートルとなっている。
特に総床面積の約6割を占める学校や市営住宅は、人口が急増した1960年代から90年代に集中的に整備され老朽化が進行。2065年までに建築物全体の約7割が築70年を越え、建て替えの検討が必要と見込む。
これまでは必要に応じて建て替えを進め、例えば学校なら児童・生徒数の見直しによるクラスの増加や、特別教室の充実を図った。その結果、市内施設の総床面積が年々増え、建て替えや保全にかかる費用も増加。税収が減り、人口も減少に転じる中で、市財政局の担当者は「これまで通りでは、今ある施設やサービスを維持することも困難になりかねない」と計画策定の背景を話す。
今後固める計画に基づき、これからの施設整備は規模や数、質、コストの適正化を図る。学校とコミュニティハウスの複合化など、建て替え時にエリアの特性やニーズを踏まえた施設の集約や多目的化などを進めていく。金沢区の区民文化センターは、近隣の金沢公会堂の設備も踏まえ必要な機能に絞った整備を検討中だ。
徐々に適正化を進め、市内施設の総床面積を21年度と比べて40年度時点で増やさず、65年度時点での1割縮減を目標とする。「整備中の話を止める訳ではない。サービスを維持するため、適切に配置していく」と市担当者。10月26日まで素案への意見を募集し、年内に計画を固める予定だ。