【Web限定記事】横浜市出身 川村元気さん『百花』でサンセバスチャン映画祭監督賞を受賞 初監督作品で日本人初の快挙

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会見で受賞を喜ぶ川村さん
授賞式の様子
役のテーマカラーである黄色の着物に身を包んだ原田さん(右)と公式上映会で(写真は全て2022「百花」製作委員会より提供)

現在公開中の映画『百花』で原作・監督・脚本を手掛けた川村元気さん(43)=横浜市金沢区出身=が9月24日の夜(日本時間25日未明)、スペインで行われた「サンセバスチャン国際映画祭」の授賞式で、日本人初となる最優秀監督賞を受賞した。配給元の東宝によると、初監督としての受賞は極めて異例だという。

川村さんは『告白』や『悪人』、『君の名は。』など人気作を多数制作してきた映画プロデューサーとして知られる一方、『世界から猫が消えたなら』や『億男』がベストセラーになるなど小説家としても活躍。今回監督賞を受賞した『百花』は、祖母が認知症になった実体験を基に描いた著書を自ら脚本化し、初めて長編映画の監督を務めたもの。認知症を患い記憶を失っていく母親に息子が寄り添い、思い出をたどっていく物語で、俳優の原田美枝子さんと菅田将暉さんが母、息子役を演じている。

タウンニュースではスペインから帰国した川村さんに、話を聞いた(9月27日、都内)。

ー受賞おめでとうございます。今のお気持ちをお聞かせ下さい

ホン・サンス監督をはじめ名匠の作品も沢山ある中、初監督作品をその中に入れていただいただけでも、自分としては十分すぎるくらい。原田さんの女優賞はもしかしたら…という思いもありましたが、まさか監督賞をいただけるとは。

原田さんと(百花の)公式上映会に出席した時、お客さんたちが泣いていたんですね。それが一番うれしかった。世界に届くテーマ、物語だと思って小説も書いたし映画も作ったつもりだけど、その思いがお客さんにちゃんと届いて、その熱が審査員にも届いたんだなと。今までの実績とかではなく、ピュアに、映画そのものを評価いただけたと感じました。

ただ、過去にヒッチコック、ポンジュノ、ダニーボイルなど名だたる巨匠たちが受賞した賞ということで、荷が重いな…というのが正直なところです(笑)。

ー主演のお2人は?

2人ともすごく喜んでくれました。僕としては監督賞ではあるんですけれど、俳優たちの評価でもあると思っています。この映画は原田美枝子さん、菅田将暉くんをはじめ、永瀬正敏さん、長澤まさみさん、全員日本アカデミー賞をとっているある種日本の最高峰の俳優を集めて作った映画なんですよね。最高の俳優が集まって、最高のスタッフと作ったら、ちゃんと世界で勝負できるんだなということが証明できたこともとても嬉しかったです。

ー監督として今後は?

今回のサンセバスチャンでは「自分の小説を自分で映画にした」というユニークさが、一定の評価を受けたと感じました。元々そんなに器用なタイプではないので、きちんとテーマを見つけて物語にして、それを映画にするという段階を踏んだことによって、ここまでこれたいう実感もあります。これからも自分で小説を書いて、自分で映画にするというスタイルなのかなと思います。

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