市内搬送困難事案 過去最多水準で推移 背景に病床ひっ迫

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タウンニュース
社会
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救急車の到着後に搬送先がなかなか決まらない救急搬送困難事案件数が、全国で3週連続で過去最多を記録した。横浜市内でも6月は週平均約70件だったが、7月下旬から週400件前後の高い水準で推移している。背景には新型コロナウイルス感染症の影響などによる病床ひっ迫がある(8月22日起稿)。

約70回断られた例も

救急搬送困難事案とは、救急隊による医療機関への受け入れ照会が4回以上あり、現場に30分以上とどまったケースを指す。総務省消防局の発表によると、横浜市内では8月1日〜7日の1週間に456件と過去最多を記録した。続く8日〜14日は401件と減少したものの、対前年同期では28件増で、依然として高い水準で推移している。市消防局の救急隊は通常83隊のところ、6隊を増やして対応しているが、8月上旬には、約70回の受け入れを断られたり、9時間近く待機したケースもあったという。

8日〜14日の困難事案401件のうち、新型コロナの感染の疑いがあった事案は277件。前週比で15%減だったが、市消防局の担当者は「依然、新規陽性者も多く大変な状態が続いている。まだ楽観視はできない」と話す。救急車を呼ぶか迷う場合は#7119の活用を呼びかける一方、「大変な状態であれば、ためらわずに救急車を呼んでほしい」と話す。

搬送先が決まらない原因の一つは病床のひっ迫だ。神奈川県の19日時点の病床使用率は89・10%で、即応病床ベースは76・65%。黒岩祐治知事は16日の定例会見で、「厳しい状況だが、病床確保にしっかり取り組んでいきたい」と話した。

人手不足も影響

一方で「病床が埋まっていなくても受け入れることが出来ない場合もある」と話すのは、横浜市立大学附属病院の担当者。救急隊からの照会は、週末など多い時で1日60件にのぼる日もあるという。医師や看護師が陽性や濃厚接触者になり、病床があっても、人手不足で対応できないケースも発生している。

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