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国指定名勝・三溪園=中区本牧三之谷58の1=で所蔵品展「四季のうつろい─春の兆し」が3月16日(水)まで開催されている。
今回の見どころは、昨年新たに収蔵された雛人形『一位稚児雛』。
三溪園を開いた実業家の原三溪が、1894(明治27)年に誕生した長女のためにあつらえた木彫の愛らしい小さな雛人形で、櫟(いちい)の木で作られている。1体のサイズは高さ約5cm、横約8.5cm、奥行約6cm。屏風には三溪が支援した日本画家・前田青邨が上質の絵の具で柳と桜を描いている。
櫟の木の名は約800年前の仁徳天皇即位の際に、この木を用いて作られた笏(しゃく)を献上したところ、その美しさと質の高さから「正一位」という最高位が与えられたことに由来するという。所蔵品展を企画する(公財)三溪園保勝会は「縁起のよい木であることから、三溪が娘の誕生を喜んで用意したことがうかがえます」と紹介している。
開催場所は園内の三溪記念館。同館では、約1カ月ごとに原三溪やゆかりの絵画・工芸品、園内にある重要文化財建造物・臨春閣の障壁画などの所蔵品を展示。今回は「春」を予感させる作品を取り合わせて展示している。
時間は午前9時から午後5時まで。第1と第2展示室があり、第1展示室には『一位稚児雛』をはじめ歌川広重『武蔵本牧のはな』(木版)、原三溪『霽雪(せいせつ)』ほか。第2展示室は原三溪『飛騨紀行貼交屏風』、牛田雞村『柳図屏風』、臨春閣の障壁画狩野周信『鶴図』が展示されている。
所蔵品展の観覧は無料。入園料はかかる(大人700円、小中学生200円)。問い合わせは同保勝会【電話】045・621・0635。