フィギュア鍵山選手 銀メダルに地元沸く 母校生徒もテレビ観戦

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鍵山選手の演技に拍手を送る生徒ら(六角橋中で10日)

北京オリンピックのフィギュアスケート男子で、鍵山優真選手(18)が銀メダルを獲得した。フリープログラムが行われた10日、母校の六角橋中学校=神奈川区=では先輩の雄姿を見ようと全クラスがテレビ観戦。練習拠点とするJR東神奈川駅より約5分の横浜銀行アイスアリーナでもパブリックビューイングが実施され、来場者が団体に続く日本勢の活躍を喜び合った。

「先輩がやってくれた」

鍵山選手の滑走が始まると、1年生の教室では生徒たちがテレビにかじりついた。次々とジャンプが決まるたびに拍手が湧き、得点が表示されて鍵山選手の銀メダル以上が確定すると「すごい!」「先輩がやってくれた」と歓声を上げた。

「まさかオリンピックに出場するなんて夢にも思わなかった」。鍵山選手が2年生の時に担任を務めた羽生実教諭(35)も、教え子の大舞台をテレビ越しに見守った。

中学時代の鍵山選手はクラスでも目立たず控えめな存在だったが、「男女問わず人気のある優しい子だった」と記憶をたどる。

朝5時台に起きて練習を済ませてから登校する日々。ときには遅刻することもあったというが、三者面談で父・正和さん(50)が「スケートだけじゃなく学校生活も楽しんでほしい」と話していた通り、学校行事にも休むことなく参加する姿が印象に残っている。

羽生教諭によると、成績は平均的で体育が得意というわけでもなかったが、「体力テストでは立ち幅跳びの得点が飛び抜けていた」と、当時から発揮していた跳躍力が世界クラスのジャンプにつながったと感じている。

鍵山選手が高校1年生の頃に中学校のそばで偶然再会したことがあるといい、「今年は調子がいいので頑張ります」と報告を受けた。あれから2年、シャイで物静かだった教え子は、オリンピックの舞台で華々しくスポットライトを浴びるまでに成長した。

元コーチ佐藤さん「優真の100点見られた」

横浜銀行アイスアリーナのリンク外に設けられたパブリックビューイング会場には80人ほどが詰めかけ、「優真」と書かれたうちわや横断幕を持ち込む人の姿もあった。

2020年まで鍵山選手を指導してきた同アリーナコーチの佐藤操さん(51)も声援を送り、銀メダルが決まると「素晴らしい演技をしてくれると信じていた。メダルが何色でも関係ない。優真の100点が見られて良かった」と満面の笑みを浮かべた。

出会いは鍵山選手が中学生の頃。正和さんに連れられて同アリーナを訪れた鍵山選手の印象は、「かわいい子だなって。人見知りで、話してみても穏やかでおっとりしたイメージ。お父さんをしのぐような演技をする子になるとは想像もできなかった」という。

佐藤さんは振り付けとコーチを担当し、圧倒的な練習量をこなす鍵山選手のストイックな姿勢に将来性を感じた。「びっくりするくらいの急成長」と驚くほどのスピードでトップ選手に上り詰め、初出場のオリンピックでやってのけた大仕事。「終盤にかけて曲の盛り上がり以上に優真自身が盛り上がっていて、すごく素敵だった」と感慨に浸った。

団体戦に続く個人戦でのメダル獲得に、指導者として二人三脚で歩んだ日々が去来する。「優真から教えてもらったことがたくさんある。新たな課題も見つけていると思うので、次の夢に向かって全力で練習するんだろうな」。かつての愛弟子が凱旋する時を、誰よりも心待ちにしている。

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