横浜市予算案 コロナ対策費手厚く 「三つのゼロ」は見送り

更新日:

タウンニュース
経済
a001110568_04.jpg

横浜市は1月28日、2022年度予算案を発表した。一般会計の総額は前年度比1・6%減の1兆9749億円。感染拡大防止と経済活性を柱にした新型コロナウイルス対策を加速させ、ワクチン接種や中小企業の支援を進める。山中竹春市長が市長選の公約に掲げた「三つのゼロ」や、「中学校給食の全員喫食」の予算化は見送られた。

歳入では市民税が324億円増え、市税収入全体は505億円(6・4%)プラスの8458億円を見込む。一方で、他の自治体へのふるさと納税による減収額は前年度より32億円増えて203億円に上るとした。市債発行額は1360億円(マイナス20・8%)に抑えた。

歳出では保健所の新型コロナ対応や、35人学級の段階的実施に伴う教員数の増加などで人件費が15億円増えて3742億円。扶助費などを含めた義務的経費は1兆1367億円で、歳出に占める割合は3ポイント上昇して57・6%となった。

医療と経済両輪で

新型コロナ対策の関連予算には2041億円を投じる。

ワクチンの3回目接種や小児接種などに323億円、自宅療養者の重症化を防ぐための外来診療拠点の確保には17億円を計上。経済活性化策として、制度融資による資金繰り支援や商店街が行うプレミアム商品券事業への助成などに1473億円を配分する。行政のデジタル化やGIGAスクール構想の推進にも取り組むとした。

財政状況に危機感

山中市長は1月28日の記者会見で「横浜市の持続的な発展に向けた財政ビジョン」(素案)を公表し、施策の推進と財政健全化を両立した市政運営の重要性を強調。「臨時財源に依存した行政運営を継続すれば、近い将来財政破綻に向かう可能性がある」と危機感を示し、「歳出改革元年」と位置付けて収支の安定を目指すとした。

市長選の公約については「7割程度は予算案に盛り込めた」と語ったが、75歳以上の敬老パス、中学生までの医療費、出産費用を無料化する「三つのゼロ」や「中学校給食の全員喫食」は予算化せず、庁内の検討体制構築を掲げるにとどまった。市長は「公約は市民の皆さまとの約束。4年間の任期の中で実現に向けて着実に進めていきたい」と述べ、実施時期などは明言を避けた。

予算案は1月31日に開会した第1回市会定例会で審議される。

このニュースをタウンニュースで見る
SHARE