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中区長者町9丁目で創業し、現在、南区大岡に本社を置く和菓子店「しげた」(株式会社シゲタ、重田英樹社長)が2022年で創業150年を迎えた。市内でも数少ない長寿企業で、1872年(明治5年)に中区長者町で飴を扱う店舗として始まり、戦後に和菓子製造を本格化させ、いち早く商業施設への出店を進めるなど、時代に合わせた経営を進めてきた。
同社は昨年12月、横浜商工会議所の創業150年会員企業顕彰を受けた。100年顕彰が8社だったのに対し、150年は同社のみ。150年顕彰が始まった2018年以降、顕彰を受けたのは同社を含めて11社。
会議所が呼び掛け、応募してもらう形式のため、150年を迎えた全ての企業が顕彰を受けるわけではないが、会議所は、「市内でも創業150年以上は数十社ではないか」という。
同社は1872年に長者町9丁目で飴屋として創業。現在も、同所が本店となっている。
水飴の製造に使用する飴や砂糖を保管していたレンガ造りの蔵は、その後、関東大震災にも耐え、戦争でも焼かれずに残り、横浜の歴史と共にあった建物だった。
創業当時、水飴は高級品で栄養価が高く、簡単には手に入らないものだったという。1928年(昭和3年)に水飴の卸業を始め、その後は県下の水飴独占販売権を得るなど、事業を拡大していった。
現在の本社となる南区大岡に工場ができたのが47年(昭和22年)。ここから和菓子の製造を始める。58年(昭和33年)、横浜駅西口に前年開業した「相鉄文化会館」に出店した。
重田社長によれば、当時、未知数の商業施設に出店する店舗は少なかったが、父である3代目社長の富太郎さんが決断した。その後もジョイナスなどの商業施設へ積極的に出店を進め、市内外で知名度を高めつつ、和菓子の製造と直接小売りというスタイルを確立させた。91年(平成3年)に大岡の工場を新しくし、工場店として販売も始めた。95年に現在の英樹社長が就任している。
代表的な商品は「翁飴(おきなあめ)」。水飴を主原料に、4日間乾燥させて仕上げる「和風ゼリー」は県指定銘菓でもある。重田社長は「和菓子は『生もの』との信念で、鮮度がおいしさに直結する」といい、今後も作り立てを販売できるよう、早朝から作り続ける。
現在は、大岡、長者町のほか、新横浜、東戸塚、上大岡の商業施設内に出店している。