特集

歴史建築さんぽで開港気分を味わう

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横浜には開港以来、西洋文明の到来とともに様々な様式の建造物が建てられ、今なお横浜の顔としてその存在感を感じさせてくれます。
そこで今回、8月1日に発売される『地球の歩き方 横浜市版』を参考に、横浜の都心臨海部を散歩しながら、横浜の歴史的な建造物をめぐっていきます。

もちろん案内役は高校生3年生の陣あいり受験生です。。横浜の歴史的建造物をお散歩しながら、素敵なまち、YOKOHAMAを”楽しく学びながら”ご紹介していきます。さていつもの通り、マイルートをセットして・・・っと

 

 

まずはじめに、歩く前に、横浜の歴史的建造物のみどころを整理しておきます。

  • 外国人が持ち込んだ世界の建築が横浜から日本中に派生。
  • 世界の流れを受けて日本人を代表する建築家が関東大震災以降活躍する場となる。
  • 関東大震災前の横浜は、外国の街と日本人町が混在した佇まいがあった。
  • 海から港を通してみた西洋の建物・景観が、三塔(ジャック・クイーン・キング)に代表される物語を生んだ。(ぜひ海からも見てほしい)
  • ヨコハマモダンは、この歴史的建造物を舞台に繰り広げられ、日本中の経済・文化などに大きな影響を与えてきた。

横浜開港資料館:http://www.kaikou.city.yokohama.jp/index.htm

幕末・開港期から昭和初期までの横浜の歴史に関する資料を展示・公開し、常設展の他、企画展も開催しています。
旧館は英国総領事館だった建物で、1972(昭和47)年まで現役で執務などに使われていました。

副館長の青木さんが、この開港資料館の建築様式などついて、あいりちゃんに、わかりやすく説明してくれました。

 

 

「旧館は英国領事館として1931(昭和6)年に建てられました。建築様式は伝統を重んじたクラシック様式。柱の上はアカンサス(ハアザミ)文様が採り入れられ、古代ギリシャ・ローマの建築で用いられたものです。

 

 

英国領事館だけあり、この建物で印象的なのは、正面玄関。左右に立つ大きな柱、その奥に玄関ドア、2階窓、そして3階の半円窓までを吹き抜けとした印象的なデザイン。当時の英国の気品が感じられます。

そしてこの正面にある通称『たまくす』は、江戸時代、横浜が小さな農漁村であったころからこの地にあり、1854(嘉永7)年、ペリー来航時に艦隊に随行してきた画家のハイネが描いた『ペリー提督、横浜上陸の図』に描かれた木の子孫(祠横の画面右)にあたると考えられています。また絵は犬が画面中央で遊んでいたり、見物人の日本人がコミカルに描かれています。

 

 

横浜開港資料館所蔵
『たまくす』はその後、関東大震災など大きな火災に、見舞われましたが、今日もこの地にたくましい生命力で歴史をきざんでいます。

 

 

これは現在のたまくすの木です。
青木副館長ありがとうございました。今後もっとお話を聞かせてくださいね。

 

 

日本大通リ側の玄関にある「GR」のマーク。これって建築の当時の「ジョージ5世」のロイヤルサイファー(君主を示す印)です。ちょっと私だけの発見です。

 

 

 

敷地内には、ミュージアムショップ&カフェ「PORTER’S LODGE(ポーターズロッジ)」があります。

横浜開港資料館の見どころ

  • 旧館は英国領事館として1931(昭和6)年に建てられた
  • たまくすの木は開港のころからの生き証人
  • 古代ギリシャ・ローマからの流れをくむ、クラシック様式
  • 英国の香り
  • 柱の上はアカンサス(ハアザミ)文様

さて、横浜開港資料館の前の海側の建物に注目してください。

 

 

横浜海洋会館です。https://www.kaiyo-kai.com/news-from-secretariat/...

横浜市中区海岸通の横浜貿易会館の隣に建つ歴史的建造物。1929(昭和4)年に大倉商事横浜出張所として建築された鉄筋コンクリート3階建ての建物です。シンプルなデザインですが、海岸通りのビルの中では存在感があり、大さん橋の入り口で横浜の歴史を見てきました。

横浜開港会館の見どころ

  • 1929(昭和4)年の」民間が建てた鉄筋コンクリート。
  • シンプルモダンが港の入り口にふさわしい佇まいで、港の入り口の顔となっている。


 

ハイ! ご存じ神奈川県庁の本庁舎です。
神奈川県庁本庁舎は、1928年(昭和3)年に竣工した4代目の庁舎です。関東大震災で焼失した先代の庁舎の跡地に建てられ、昭和初期に流行した帝冠様式を採り入れています。タイル貼りの壁面と幾何学模様の装飾が施された外観は、アール・デコ様式を基調としており、塔屋は「キングの塔」として親しまれています。
神奈川県庁本庁舎:https://www.pref.kanagawa.jp/docs/...


 

神奈川県庁の見どころ

  • 神奈川県庁本庁舎は、1928年(昭和3)年に竣工した4代目の庁舎です。
  • 昭和初期に流行した帝冠様式を採り入れています。
  • タイル貼りの壁面と幾何学模様の装飾が施された外観は、アール・デコ様式を基調
  • 塔屋は「キングの塔」として親しまれている

臨港地区の塔のある建物はトランプになぞらえ、神奈川県庁本庁舎“キング”、横浜税関“クイーン”、横浜市開港記念会館“ジャック”の「横浜三塔」と言われ、古くから愛されています。

 

 

ここクイーンは1934(昭和9)年竣工、5階建てのエキゾチックな庁舎に「ロマネスク」などの西欧建築様式が混在し、それをベージュ色の磁器タイルが優しく覆っています。ドームはイスラム寺院を想わせる鮮やかな緑青色。横浜市認定歴史的建造物に登録されています。1階には税関資料室があり、横浜税関の歴史や役割、ホンモノ・ニセモノコーナー、ワシントン条約コーナー、密輸の手口など盛りだくさんの内容になっています。
外壁の模様は、よく見ると波模様でかわいいですね。

 

 

横浜税関:https://www.customs.go.jp/yokohama/

横浜税関の見どころ

  • 横浜税関は「クイーン」
  • 1934(昭和9)年竣工、5階建ての庁舎に「ロマネスク」などの西欧建築様式が混在
  • ベージュ色の磁器タイル
  • ドームはイスラム寺院を想わせる鮮やかな緑青色
  • 外壁の模様は、よく見ると波模様

横浜郵船ビルにやってきました。

 

 

50mにも渡る建物にずらりと柱が並んだ姿は圧巻で、近くを歩くと異国の街にいるかのような・・・
1888(明治21)年に竣工した日本郵船横浜支店の初代ビルは、イギリス人建築家J.ダイアック設計による赤レンガ造りの建物でした。関東大震災によって崩れたため、2代目横浜支店ビルとして1936(昭和11)年に完成。16本のコリント式列柱と梁からなる直線的で均整のとれた重厚感のある建物はパルテノン神殿のようです。

 

 

21世紀に入り行われた大規模改修では、内装などを竣工時通りに忠実に復元する優れた改修を行い、建物外観の保存により街並との調和を保ちながら地域の活性化に寄与したことなども評価され、第15回BELCA賞(ベストリフォーム部門)を受賞しています。博物館は、現在周辺の再開発で休業中。海岸通りも変わっていきますね。

日本郵船の見どころ

  • 50mにも渡る建物にずらりと柱が並んだ姿は圧巻
  • 1888(明治21)年に竣工した日本郵船横浜支店の初代ビルは、イギリス人建築家J.ダイアック設計による赤レンガ造りの建物。
  • 関東大震災によって崩れたため、2代目横浜支店ビルとして1936(昭和11)年に完成。16本のコリント式列柱と梁からなる直線的で均整のとれた重厚感のある建物になっている

https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/...

海岸通りから馬車道にやってきました。

 

 

ここ神奈川県立歴史博物館(旧横浜正金銀行本店本館)は、馬車道で象徴的な建物の一つです。明治時代の名建築家・妻木頼黄が設計し、1904(明治37)年に建設されたネオ・バロック様式の建物です。横浜市中区の馬車道と本町通りの交差点の近くにあり、横浜に残る明治期西洋建築として貴重な建物の一つです。

 

 

1964(昭和39)年に神奈川県が建物を買い取り、増築・改修工事を行い、関東大震災で焼失したドーム屋根を復元。1967(昭和42)年3月に神奈川県立博物館として開館し、1995(平成7)年には敷地を含め国の史跡に指定されています。

神奈川県立歴史博物館の見どころ

  • 旧横浜正金銀行本店本館は、馬車道で象徴的な建物
  • 明治時代の名建築家・妻木頼黄が設計し、1904(明治37)年に建設されたネオ・バロック様式の建物
  • 明治の建築物だけあって重厚かつ、世界の建築の流れを感じさせるのも

神奈川県立歴史博物館:https://ch.kanagawa-museum.jp/

 

 

そして、今年リニューアルオープンしたのが横浜市開港記念会館です。
横浜市開港記念会館は、横浜開港50周年を記念し、市民の寄付金により1917(大正6)年7月1日に開館しました。
開館以来、横浜の代表的建造物の一つとして多くの市民に親しまれています。1959(昭和34)年からは、「横浜市開港記念会館」と名称を改め中区の公会堂になり、1989(平成元)年には国の重要文化財に指定されています。

 

 

この立地は、横浜市民の経済文化の中心施設であり、「時計台」として親しまれた「町会所」(明治7年竣工、明治39年焼失)が所在し、本建築も、横浜最初の公開建築競技(コンペ)に基づき、旧町会所の時計台のイメージを継承した案が当選し、実施に移されました。建設経緯とともに、時計台を主調とした建築形姿が市民に深く愛される建造物の要因となっています。

 

 

ジャックサポーターズの粱根(あわね)さんが案内してくれました。(写真)

 

 

写真は、ジャックサポーターズの皆さん。
横浜市開港記念会館の建築様式は、赤煉瓦に花崗岩をとりまぜた、いわゆる「辰野式フリークラシック」を採用し、明治期赤レンガ建築の延長上にありますが、通りに面した3つの隅部に、時計塔、角塔、八角塔を配し、ドームを架けた建築構成は赤レンガ建築における様式意匠の到達点を示す作品になっています。また、高さ約36mの時計塔(鉄骨煉瓦造)は大正期の煉瓦作り構造技術の水準を示すとともに、石材装飾のディテールにはセセッションスタイルの反映がみられ、大正期独自の造型も兼ね備えています。

 

 

1923(大正12)年の関東大震災によって、時計塔と壁体だけを残し、内部は焼失し、屋根ドーム群も欠落してしまいました。
1927(昭和2)年に震災復旧工事が竣工しましたが、復旧に際しては、創建時と同じ設計スタッフが計画にあたり、構造補強を行い、ステンドグラスを含めて震災復興期のデザインで統一しています。

 

 

煉瓦造建築の構造補強例としては最初期のものであり、大正末期のインテリア空間を伝えていることでも貴重です。なお、屋根ドーム群は復元されませんでした。

 

 

戦後は、昭和20(1945)年から、昭和33(1958)年まで米軍に接収され「メモリアルホール」と呼ばれ、進駐軍兵士向けの映画の上映館として利用されました。

 

 

地下には理髪店がありました。(写真参照:地下は一般公開されていません。)
1989(平成元)年6月、大正時代そのままの姿に復元は実現しました。外観・内部とともに明治末期から大正時代にかけての建築様式を伝え、また、当時の建築水準を示す優れた建築物としてよみがえり、今なおその栄華を見ることができます。
横浜市 開港記念会館:https://www.kaikokinenkaikan.com/facility/

また、VR技術による館内バーチャルツアーはよくできています。横浜市開港記念会館館内を360度全方位で撮影したVR画像で、楽しく体験できます。このバーチャルツアーは横浜市の株式会社永松鑑定事務所さんが制作したものです。

 

 

https://www.kaikokinenkaikan.com/facility/tour/


 

永松鑑定事務所3Dサポートチームの皆様ありがとうございました。

横浜市開港記念会館の見どころ

  • 1917(大正6)年6月竣工。「ジャックの塔」と称される横浜を代表する建物
  • 横浜開港50周年記念に計画された公会堂で、福田重義のコンペ1等当選案をもとに、山田七五郎が率いる横浜営繕組織が実施設計した。
  • 赤煉瓦の壁面に花崗岩を縦横に配した、フリークラシック・スタイル(明治建築界の3巨頭のひとりである辰野金吾が多用した意匠で「辰野式」とも通称される)の華麗な外観を構成する
  • 関東大震災で焼失した屋根・ドームは、市制施行100周年の1989(平成元)年に復元された
  • 2024年4月横浜市開港記念会館はリニューアルオープン

お腹すきました~。ちょっと足を延ばして、吉田町までやってきました。
ここは、都橋にほど近い、チキンブリトー専門店 「UMEYA KITCHEN」さん。
https://www.umeya-torinikuten.co.jp/umeya-kitchen/

 

 


 

写真左はオーナーの山下さん! パンプアップチキンのTシャツがおしゃれです。

 

 

店内は明るくておしゃれ。
母体の「梅や」さんは、1913(大正2)年創業の老舗鶏肉専門店。コロナ中にこの店をオープンして現在に至ります。この「チキンブリトー専門店 「UMEYA KITCHEN」をオープンして若い世代にもアピールできてよかったです、と語ってくださいました。

 

 

食べ方は、ブリトー・サラダ・ライスボールからチョイス、味はテリヤキ・メキシカンなど。レギュラーサイズが1,180円、グランデが1,480円。レギュラーでもおなか一杯になります。
老舗の鶏肉店だけあって、味も大満足です。

 

 

ブリトーを制作中。具沢山!

 

 

お待たせしました。出来上がり!

 

 

2階席の窓から大岡川も見え、雰囲気もステキ。トイレがきれいなのも♡

 

 

いただきます!

今日はここまで! お疲れ様でした。

協力:(公財)横浜観光コンベンション・ビューロー
レポート:小嶋 寛

 

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