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宿場そば 桑名屋をはまめぐり【保土ヶ谷区】

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東海道五十三次「保土ケ谷宿」。
1601年に幕府公認の宿場町となってから、周辺地域の発展を支え歴史を紡いできました。
桑名屋は明治19年の老舗お蕎麦屋さん。四代目の大将は、大きな大きな保土ケ谷愛で、長く保土ケ谷の歴史の伝え手をされています。お話が楽しすぎるのと美味しいお蕎麦で心もお腹も満たされました。
ちなみに保土ケ谷の「ケ」は大きな「ケ」です。保土ヶ谷じゃないですよ。
お間違いのないように‥!

✔️ 優しいお味の二八蕎麦
✔️ 宿場町・保土ケ谷 激アツトーク
✔️ 蕎麦湯も最強美味

 

 

「横浜=みなとみらい?」
いやいや! 横浜は、それだけじゃない。
横浜市は全部で “18区” あるんです。魅力は18通り、いや、それ以上に。
もっともっと色んな横浜を知りたい。そして、知ってもらいたい。
「横浜=∞」な魅力発信を目指して、横浜好きの川内美月が、よこ「はま」を「めぐり」ます。

■宿場そば 桑名屋
【お蕎麦堪能編】

 

 

保土ケ谷駅からすぐのところに、江戸情緒ただようお店が一軒。
明治19年創業。二八蕎麦が頂ける老舗「宿場そば 桑名屋」さんです。

 

 

“まちかど博物館”ののぼりも気になるところ。
紺色の暖簾も素敵。では早速まいりましょう。

 

 

入るとすぐに目に飛び込んできた「新そば 打ち始めました」の張り紙。
いやあ、ワクワクします。新そば、大好き。
11月は新そばの時期。桑名屋では新そばの中でも美味しい蕎麦粉を、時期に合わせて各地から取り寄せるんだそう。旬の中の旬のもの、ベストオブ旬のお蕎麦を頂けます。

 

 

1階のお座敷席にご案内いただき、早速注文!
お写真映えすると女将さんがオススメしてくださった2つのメニューをご紹介します。

 

 

まずは、「雪割りそば」
5つの器に小分けされたお蕎麦の上には、おろし、三つ葉、納豆、のり、いくらが。
お蕎麦の素の味を引き立てる各トッピングが、華やかに彩ります。
上からお汁をかけてもよし、かけずにそのまま山葵をつけて頂くのもよしでございます。

 

 

また、「三割子そば」も。
いくらとおろしと鰹節、とろろのお蕎麦と天丼付き。
豪華なセットです。

 

 

シンソバ、オイシイ。
つるりと滑らかな食感の中にもコシがあって、食べ応えがあります。
無限に食べられそうです。

 

 

そして桑名屋さんは、“そば湯”も美味しかった‥

 

 

思わずこの表情。
そば湯独特のとろみは控えめで比較的あっさりと頂けるのに、後味はしっかりお蕎麦の香りを楽しめます。いやあ美味しい。ホッとするお味です。
店主は「風邪の時に飲むと元気になるよ」と教えてくださいました。
間違いない…体も心も、調っちゃいます。

 

 

ご紹介したメニューの他にも、定番メニュー、そして要予約のこだわりメニューがございます。黒船カレー南蛮も気になるなあ。と、ブツブツ。また遊びに伺います!ご馳走様でした。

【保土ケ谷宿学び編】

 

 

さて。ここからは「保土ケ谷宿」の歴史を四代目店主の近藤博昭さんに伺います。
近藤さんは、お蕎麦職人であり、地元・保土ケ谷の歴史のプロ。歴史を大切にするまちづくりの担い手や伝え手として様々な活動をされています。

 

 

お店の2階には「保土ケ谷宿」の歴史展示コーナーが。
江戸時代、東海道五十三次の宿場町として栄えた保土ケ谷のまち。
歌川広重の浮世絵にもその様子が描かれています。

 

 

歌川広重 東海道五拾三次「保土ケ谷 新町橋」
帷子川にかかる新町橋、宿場の家並みが描かれています。
現在の天王町駅付近だそう。

 

 

絵の中に「二八」という看板が見えますでしょうか。そうです、お蕎麦屋さんです。安価でお腹いっぱいになれるお蕎麦屋さんの存在は多くの旅人を支えました。
近藤さんは、これを発見したことを機にトキメキ、保土ケ谷の歴史を深掘りたい!と熱い思いが芽生えたそうです。それまでは野球一筋だったんだよとはにかむ近藤さん(^^)

 

 

保土ケ谷宿のジオラマがこちら。カクッと曲がった特徴的な東海道。現在も国道1号線、J R線はこのカクッとした形に沿ってできていますよね!400年近くこの形なのか〜と感慨深くなります。

 

 

ちなみにこのカクッとした角に保土ケ谷宿の本陣、苅部家がありました。
苅部家はその後10代、11代と横浜町の総年寄に任命され、名士として横浜の発展に尽力したと言われています。苅部家に限らず、開港後の横浜を支えたのも保土ケ谷出身の名家たちだったのだそう。保土ケ谷なくして今の横浜はなかったかもしれません。。

 

 

東海道五十三次の中でも最も早い段階で整備された保土ケ谷宿。
“武蔵の国”の最西端に位置していた、所謂、小江戸でした。
ここの守りを固めることで江戸を守る、そんな大役を担っていたんだそう。

 

 

知れば知るほど、横浜の発展にとって保土ケ谷の存在がどれだけ大きいかががわかります。近藤さんからもっとお話を伺いたい、勉強したい、と強く思いました。
近藤さんは、「俺もそうやってハマっていったんだよ」とニヤリ。保土ケ谷“沼”です。

 

 

取材にご協力いただいた近藤さん、ありがとうございました!
宿場そば 桑名屋は、老舗の美味しいお蕎麦屋さんであると共に、まちの歴史博物館です。
ぜひ皆様、近藤さんに会いにいらしてくださいませ✨

<取材店舗>
【宿場そば 桑名屋】
・住所:横浜市保土ヶ谷区岩井町21
・アクセス:JR横須賀線「保土ヶ谷駅」西口 徒歩1分
・営業時間:11:00-22:00
・定休日:木曜日

<出演・文>
川内美月

 

はまめぐり
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