観光スポットだけじゃない横浜の魅力をお伝えする特集「ぶらり!商店街ガイド」。
毎回ナビゲーターのわたくし、丸りおながマイルートを使って商店街を”ぶらり”と散策しながら商店街や街の魅力をお伝えしていきます!
連日猛暑日が続いていますが、暑さに負けず今回は伊勢佐木町商店街へおでかけしてみましょう。今日はどんなモノやお店に出会えるのか楽しみです!
今日は最寄りの関内駅まで横浜市営地下鉄ブルーラインを利用しました!
伊勢佐木町商店街へはマリナード地下街を通って8番出口が便利です。
見上げるとそこにはイセザキ・モールのウェルカムゲートが。
さっそくマイルートのアプリで現在地を確認。
まずはここから、全長1.2kmの長~い商店街の中に進んでみましょう。
(イセザキ・モール1・2St.および伊勢佐木町商店街3~6丁目をぶらりしますが、こちらの記事では名称を「伊勢佐木町商店街」と統一させていただきます)
商店街を歩き始めてまず感じるのが道幅の広さ!とっても開放感があります。歩道の両側には街路樹がたくさん植えられ、木陰が歩行者を日差しから守ってくれています。
戦後しばらくして銀座に「銀ブラ」が流行ったころ、この街をぶらぶら楽しむ「伊勢ブラ」という言葉が生まれたそう。せっかくなので今回は当時のことを思い浮かべながら老舗のお店をぶらり巡ってみましょう。
少し歩くと見覚えのあるロゴマークが!
本屋さんといえばここ、「有隣堂」です!
入口にはフラワーショップがあり、色とりどりの季節の花が置かれていました。鮮やかな花々に心が癒されます。
有隣堂は1909(明治42)年にこの地に誕生しました。関東大震災や横浜大空襲による倒壊・焼失からの復興、そして敗戦後の占領軍による接収を経て現在の有隣堂のビルが完成しました。
いまや神奈川だけでなく東京や千葉を含めた3都県に約40店舗を超えるお店がある有隣堂ですが、こちらにその本店があるとは知りませんでした。さっそく中に入ってみたいと思います!
まず最初に、入口すぐのところにある横浜に関する本を集めたコーナーが目に入りました。
地元に密着した季刊誌やあると嬉しいバックナンバーも多く取り扱い、幅広い世代の方に楽しんで頂けるコーナーを心がけてセレクトしているそうです。ハマっ子や横浜好きの方には特に必見のコーナーですね。わたしも読まないと!
こちらの有隣堂伊勢佐木町本店では、話題の新刊や雑誌はもちろん、手軽に読める文庫や新書、幅広いジャンルをカバーする専門書に加え文具類もとっても充実しています。また有隣堂オリジナル出版物として、横浜や神奈川を中心に歴史等をテーマに多くの書籍を発行しているそうです。
<地元に精通する有隣堂ならではの「有隣新書コーナー」>
2022年7月には6階フロアにイベントスペースやYouTube撮影スタジオが設けられるなど、今後の有隣堂の展開にも注目ですよ!
有隣堂をあとにして歩いていると賑やかな音楽が聞こえてきました。音の鳴る方へ向かうと不思議な形の時計のモニュメントがありました。
こちらの「からくり人形時計」は1978(昭和53)年に完成したのち故障による休止を経て、2021年6月10日「時の記念日」に16年振りに復活しました。
「鐘を鳴らす神父」「ふるいをかける農婦」「パンを焼くパン職人」「オルゴールをならす街の芸人」「ラッパを吹く街の音楽家」「靴をつくる靴職人」「ガラスを吹く工芸家」「鉄を打つ鍛冶職人」「粉をひく農夫」といった中世ヨーロッパのタウンピープルをかたどった9体のブロンズ風の人形が、哀愁漂うバロック調の音楽とともに賑やかに躍動する仕掛けです。
午前10時から午後9時まで、正時・30分の2回ずつ3分間照明付きで動くそうです。ぜひ立ち寄ってみてくださいね!
伊勢佐木町商店街は全長1.2kmの中で6つの丁目に分かれ、老舗の専門店からチェーン店まで立ち並ぶバラエティに富んだ商店街です。多くの人で賑わう大道芸や、人気アーティストのメジャーデビュー前の路上ライヴが行われた聖地などエンターテインメントの分野でもよく知られています。
<木陰でひと休み♪>
そろそろお腹が空いてきました。どこでランチしようかなとキョロキョロしながら歩いていると、横浜のれん会の店「かつ半」と書かれたお店を発見しました!1953(昭和28)年に創業した老舗とんかつ屋さんです。
その昔、お店の周りには映画館がたくさんあり俳優さんをはじめ多くの関係者がかつ半に訪れたそう。古くから港町ヨコハマで生活する人たちの胃袋を満たしてきた伝統の味ですね。
サクサクの衣に包まれた定番のヒレかつ定食を注文しました。
大きい塊でビックリ!かつ半のヒレかつは棒状に形を整えて提供するのが特徴です。
<いただきます!>
<ソースをたっぷりかけて!>
分厚いのにお箸で切れるほど柔らかいお肉からうま味が溢れ出します。初代より受け継がれている秘伝の濃厚ソースはフルーツと野菜の甘味が凝縮されて、かつにもキャベツにも合って絶品。ご飯が進んじゃいます。からしも毎日溶いているそうで香りが全然違います!
<いい香り~!>
ボリュームがあったのにペロリと平らげてしまいました。ご馳走様でした!
お腹いっぱいになって大満足!それではお散歩に戻りましょう。
少し歩くと尾張屋という屋号が目に入ってきました。
近づいてみるとお祭り用品や舞踊用小道具・和装小物が店内に所狭しと並んでいる「尾張屋林呉服店」というお店でした。
お店の創業は1897(明治30)年。日に焼けた暖簾がお店の長い歴史を物語っています。
元は呉服用の生地を切り売りする呉服店ですが、ニーズに合わせてお祭り用品のラインナップが充実。こと店頭においてはそのほとんどを占めるまでになりました。
法被(はっぴ)や半纏(はんてん)を手に取るとなんだがお祭りの高揚感が込み上げてきます。オーダーでの仕立ても受けていただけるそうです。
テンションが上がりますね。どんどん楽しくなっていきます!
和装小物も充実。頭のてっぺんから足のつま先まで、お祭り用品一式をそろえることができます。
<どっちが似合うかな~?>
ちなみにコロナ禍前はお土産探しに外国人観光客の方も多く訪れ、中には購入した半纏を額縁に入れてディスプレイする方もいらっしゃるとか。さらに大さん橋に泊まる大型客船のスタッフが船内イベント用に物色したりと、お店がきっかけで日本の伝統文化が海の外へ広がっていくのは嬉しいですね!
ここで、開港当時から横浜の商業・文化の発信地であり続けた伊勢佐木町商店街について、協同組合伊勢佐木町商店街の理事長牛山裕子さんにお話を伺いました。
常に街に貢献できる形を模索しながら不動産事業を展開している牛山さん。“来たくなる街、働きたくなる街、住みたくなる街”をスローガンに掲げ、街の移り変わりを見守り続けてきました。
そんな商店街では、「4丁目の奥さまたちは毎朝ゴミ拾いをしていただいていますし、6丁目にはお花がいっぱい植えられています」など、SDGsにあるような住み続けられる快適な街づくりが自然と行われているようです。
「この街には、街づくりに意欲ある若者がたくさんいて頼もしく感じています。50年以上先を見据えた持続可能な街づくりを実現する為には、何より若い方の参画が欠かせませんから」と、牛山さんは街の未来を託す後継者の方々に熱い視線を注いでいます。
<1982(昭和57)年建立のベルタワー>
街の現状についてお聞きすると、このエリア特有の様々な国籍や文化的背景をもつ人が生活する多国籍タウンとしての難しさがあるとのこと。
「どうしても文化の壁、言語の壁があるため、何か一つ注意するにしても一筋縄ではいきません。大切なのは、やはりコミュニケーションを重ねることです。街のルールを心から理解してもらうことが、結局は安心安全な空間を生み、賑わいをもたらすのだと考えます」
牛山さんの思いは新しく作られたロゴマークにも込められています。
<人と道が交差する様をデザイン>
にぎわいのある街、多様性のある街、未来に向けて発展していく街――。
「投資目的の街にはしたくない」というお言葉と併せて、とても印象的なロゴマークのストーリーを教えていただきました。牛山さん、お話ありがとうございました。
それでは先に進みましょう!
続いてはこちら、「井上漆器店」です。
1907(明治40)年にこの場所で創業した老舗の漆器店で、関東大震災や横浜大空襲による倒壊・焼失からの復興を経験した、まさに世紀をまたいで伊勢佐木の街と共に歩んできたお店です。
1930(昭和5)年当時の貴重なお写真を見せていただきました。
<右の写真が1930年当時の井上漆器店>
横浜でも数少ない漆器専門店。各産地の上質な漆器を取りそろえ、なかでも塗り箸の日本一の生産地である福井県の若狭塗の箸のラインナップが豊富で、遠方から買いに来る方も多いそうです。
このような上質な箸を取り扱うお店が少なくなってきている今、井上漆器店のような歴史あるお店の存在は貴重です。
普段なかなか入る機会の少ない老舗の専門店ですが、こだわりのアイテムたちを眺めているだけでも素敵な時間が過ごせそうです!
かわいい箸置きも発見、お土産に買っていこう!
たくさん老舗巡りをしたので、そろそろカフェ休憩をとりたいな!
「浜志まん(はまじまん)」という面白い名前のケーキ屋さんを発見したので入ろうと思います。
<こちらも1913(大正2)年創業の老舗!>
元々は和菓子屋さんでしたが、横浜の開港文化など時代にあわせて洋菓子を販売するようになったそうです。ショーケースにはクラシカルな雰囲気のケーキが並んでいます。
こちらが神奈川県指定銘菓のボストンクリームパイです。職人さんの手仕事で描かれたチョコレートの網目模様が映えます!
そもそもボストンクリームパイとはその名のとおりアメリカで誕生したもので、その後、他の様々な異国文化と同様に海を渡って発祥の地横浜に伝わりました。浜志まんでは外国航路で洋菓子の経験を積んだパティシエを採用し、1957(昭和32)年より販売をスタート。現在に至るまで変わらない人気商品になりました!
お一人様用にミニサイズもあります。小さくても網目模様はしっかり受け継がれていますね。
店内にはイートインスペースがあり、その場でいただくこともできます。さっそくミニボストンとサバランをいただいちゃいました!
ふわふわな生クリームとカスタードを組み合わせたボストンクリームパイ。映えるから食べるのがもったいないけれど、もちろん食べちゃいます!
「甘くて美味しい!」
シンプルな感想こそ美味しさの証です。
続けてアプリコットの風味がアクセントになったサバランも一気にいただきます!
「めっちゃラム!」
上からも下からもラムの香りに包まれて幸せです。
どちらもとっても美味しくいただきました!
<ぜひまた別のケーキを食べに来たいです!>
さて、そろそろゴールが見えてきましたよ。
6丁目にある商店街のゲートに到着しました!
今日のお散歩はこれでおしまい。
次回のぶらり商店街もお楽しみに。
どこの商店街にお出かけしようかな。