観光スポットだけじゃない横浜の魅力をお伝えする特集「ぶらり!商店街ガイド」。
毎回ナビゲーターのわたくし、丸りおながマイルートを使って商店街を”ぶらり”と散策しながら商店街や街の魅力をお伝えしていきます!
夏の訪れが待ち遠しい季節になりました。今回は、ガス灯とレンガ敷の歩道が印象的な商店街:馬車道商店街へお出かけしてみましょう。今日はどんなモノやお店に出会えるのか楽しみです!
今日は最寄りの馬車道駅まで横浜高速鉄道みなとみらい線を利用しました!
馬車道商店街へは5番出口が便利です。
さっそくマイルートのアプリで現在地を確認。
まずはここから馬車道商店街の中心部まで行ってみましょう。
馬車道商店街の街並みは景観がとっても素敵!ガス灯もとっても珍しいですよね。
そうここ馬車道は数々の近代文化発祥の地としても知られていますが、その一つにガス灯があります。
関内ホールの前には、記念碑とともに、当時のものを復元した記念のガス灯が立っていました。
1872年に日本最初のガス事業がこの地で誕生し、馬車道・本町通り等に設置・点灯され、これが日本初のガス灯となりました。なんと今年でちょうど150年!記念すべき年ですね。
横浜市では発祥の地を盛り上げようと「ガス灯プロムナード」を整備してきました。まず昭和60年に山下公園通りに40基のガス灯が整備され、その後平成14年には馬車道通りに60基、平成24年には万国橋通りに18基、そして令和元年には海岸通りに31基と段階的に整備され、馬車道通りから山下公園通りまで149基のガス灯が総距離約4キロにわたって設置されるプロムナードが完成したそうです。
せっかくなので今回は馬車道の端からガス灯プロムナードを辿ってお散歩しましょう。まずは商店街の端まで移動すると開けたスペースがありました。ここからスタートです。
広場の地面がチェス盤のあしらいになっています。マスには馬車道発祥のものが記されています。
アイスクリームも馬車道が発祥なんですよね、知ってました!?
特別にチェスの駒も見せていただきました。この特大の駒はドイツから輸入したそうで、イベントなどでは実際にこの駒を使って試合も開催されるとか。こういった遊び心も面白いですね!
少し歩くと何やら歴史のあるお店が。こちらのお店、とっても有名ですよね。
創業は1839年のおいなり専門店「泉平」さんです。本店は馬車道にあったのですね。
店内ではたくさんのおいなりさんが手作りされています。ジューシーで甘いお味に虜になるファンの方も多いですよね。天気のいい日に泉平さんのお弁当買って外でランチしたいな!
お弁当を見ていたらすっかりお腹が減ってきました!横浜市民には特になじみ深いお店「勝烈庵」、馬車道総本店でお昼をいただくことにしました。まずは暖簾の前でパチリ。
ちなみにこの屋号の書は棟方志功画伯に揮毫(きごう)いただいたものだそう。
店内には棟方画伯の板画や肉筆画の作品がたくさん飾られているんですよ、みなさんも見つけてみてくださいね。
店内には香ばしいカツレツの香りが。2階のお座敷席に案内していただきました。定番の勝烈定食を注文しました!
お店の方オススメのソースをたっぷりかけていただきます!
サクッとした粗めの衣と、しっとりしたお肉に秘伝のソースも合わさって絶品です!このソース、野菜と果物を2日間煮込み1日寝かせて作るそうで、コクがあるのにあっさりとしています。
ごちそうさまでした!
まちの周りが大きく変化を遂げる中で老舗の店舗がまちを守り、歴史ある商店街としてあり続けてきた馬車道商店街。馬車道商店街協同組合の専務理事の則竹聡一郎さんにお話をお伺いしてみました。
「今年こそは『馬車道まつり』をやりたいね~」と開口一番に意気込む則竹さん。
それもそのはず、過去2年間(2020年、2021年)は新型コロナの影響で開催を断念してきたからです。しかしコロナ禍をめぐる情勢も変わりいよいよ今年は開催できるのではと、既に馬車を引く専用の馬の手配などを始めているそうです。「なにせ2年ぶりだから、こっちも段取りがあやふやでさ(笑)」と嬉しそうに語っていらっしゃる様子に、歴史を持ちながらも、常に新しいまちであり続けてきた馬車道商店街の気概が伺えます。
<横浜に馬車が走っていた頃の面影を今に伝える馬車道まつり>
<馬車道まつりで使う馬車の一つが、ホテルルートイン横浜馬車道に展示されています>
「せっかく来てもらった方に馬車道のことを知ってもらえるスタンプラリーも実施しました。発祥スポットをめぐりスタンプを集めると、これまた発祥に縁のある『馬車道あいす』が一つもらえるんです。楽しみながら学べる企画として好評でしたよ。さらに増加傾向にあった海外からのお客様に対してきちんとおもてなしできるよう、英語を話せる広報窓口を設置し、商店街の英字パンフレットを制作しました。街中を馬車が走る日本独自の文化を通じて、馬車道はもとより日本文化のPRといった意味合いでも『馬車道まつり』は街にとって欠かせないイベントだと感じています」とのこと。
「馬車道は『大人の街、本物の街』と掲げるように、ゆったりとした時間を過ごしていただける街です。夕暮れ時にコンサート会場や博物館から出ると、そこにはほのかに灯るガス灯のあかりが出迎えてくれる。大人の方はもちろんですが、ぜひ若い方にもそんな馬車道の雰囲気を楽しんでいただきたいですね」と則竹さん。
「先輩方から馬車道のイズムを受け継いできました。各エリアがそれぞれ特色をもつのが横浜。その中でみなとみらいのような新しく華やかな場所もあれば馬車道のような古き良き横浜の面影を残した街もある。それが横浜の良いところです。私自身はもちろん、次世代にもしっかりとイズムを継承していきたいですね」と、馬車道歴25年になる則竹さんのお言葉が印象的でした。
則竹さん、貴重なお話をお聞かせいただきましてありがとうございました。則竹さんがオススメする「目線を少し上にして」ガス灯を楽しみながらこの先に進もうと思います。
馬車道商店街といえばレンガ敷のゆったりとした歩道と、いたる所にある休憩用のベンチや季節の花で整備された花壇など、随所に住民や観光客が快適に過ごせるよう配慮がなされているのもとても印象的です。こうした取り組みも広い意味でSDGsなのかもしれませんね。
ただ歩いているだけでとっても優雅な気分になれます。
しばらく進むと生チョコ発祥の店「シルスマリア」さんというお店を発見!
チョコ好きとしては伺わずにはいられません。
1階では生チョコレートを中心としたチョコレート菓子の販売、2階は併設のカフェになっていてお茶ができるとのことで、ここでティータイムにしたいと思います。
店内はシックで落ち着いた雰囲気。パフェとダージリンティーをオーダーしました。
砂時計の砂が全て落ちたら飲み頃なんてお洒落な仕掛け!まずは紅茶を一口、とってもいい香り。ロサンゼルスのティーブランド「Art of Tea」のオーガニックダージリンだそう。セットでいただけるのは「公園通りの石畳 No.0」という素敵な名前の生チョコ。よく見ると表面に金箔が!(※セットのチョコレートは変更になる場合があります)
「口に含むとほわぁぁ~んと広がってとろけちゃう!」
<エクレアと食べる生チョコソフトパルフェ 〜シルスミルク・カカオニブ・エクレア添え〜>
パフェはチョコレートソフトクリームの滑らかさとエクレア生地のサクサク感、そして生チョコレートに、トッピングのカカオニブの香ばしさがアクセントになって、チョコ好きにはたまりません!!ショコラ生地のエクレアが味変にもなっていろいろ楽しめちゃいます。
今後は旬の果物を使った季節限定メニューなど、定番だけでなくいつ来ても新しいチョコスイーツを展開予定だそう。是非また伺いたいと思います!
シルスマリアを出たところにもガス灯がありました。
お散歩を再開すると馬車道通りの中でも際立って重厚感のある建物が見えてきました。 ここは「神奈川県立歴史博物館」で、元々「横浜正金銀行」として使われていた建物を改装した博物館です。
馬車道を歩いていると歴史的な建物のほかに、いろんな馬との出会いがあって楽しい!テンションも上がっちゃいます。
商店街のアーチを抜けて、先へ進みましょう。
道を渡るとまた趣のある建物が見えました。こちらは旧横浜生糸検査所(横浜第2合同庁舎)が忠実に復元された建物です。
「キーケン」の名で親しまれていたこの「横浜生糸検査所」は、かつて日本の輸出生糸の品質検査がおこなわれた施設だそうです。横浜での生糸貿易の歴史を知ることのできる貴重な建物ですね。
もちろんガス灯もしっかりありますよ。
ガス灯をたどって海岸通りの方へ向かうと、目を引く重厚な建物がみえてきました。
日本郵船歴史博物館です。もともとは昭和11年に日本郵船横浜支店として建てられました。16本並んだコリント式の柱には渦巻きと花の見事な模様のレリーフがあります。
さっそく中に入りましょう。
(※通常館内撮影禁止ですが、取材ということで特別に撮影させていただきました)
天井には太陽の象徴といわれるロゼットという円形の花形飾りのレリーフがたくさん。入口ドアや照明器具など建築当時流行していたアール・デコ調の内装はとても上品ですね。館内に目を向けると横浜市民の方には懐かしいクルーズ船初代飛鳥の姿が!
立派な船の模型がたくさんあります。
なかでも幻のモデルメーカーといわれる籾山模型が90年ほど前に製作した昭和初期の豪華客船「浅間丸」に目を奪われました。
張り巡らされたロープなど細かなところまで作り込まれた職人技に圧倒されます。一世紀ほど昔に作られたとは思えないクオリティに、太平洋の女王とよばれた「浅間丸」の当時の姿が蘇ってきます。
2022年にリニューアルした、昭和初期のポスターやパンフレットを展示するコーナーも見ごたえがあります。当時のパンフレットには金のインクがふんだんに使われるなどデザイン性の高いものが多く、船が主役だった頃の時代背景を今に伝えていますね。
浅間丸で提供された夕食を再現したコーナーもありました。
この先にまだまだガス灯は続いていますが今日のお散歩はこれでおしまい。
こんどは夕暮れ時にガス灯の灯りをたどって山下公園まで歩いてみたいな。
次回のぶらり商店街もお楽しみに。
どこの商店街にお出かけしようかな。