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【季刊誌横濱 連動企画】my route(マイルート)で歩く鶴見線の旅

季刊誌横濱

秋の休日、「my route」を道案内に、鶴見駅から電車に乗った。鶴見線ホームは鶴見駅の改札内改札を通ったところにあった。かなり古い乗り場だが、行き止まりのホームは起点駅の風格を感じさせる。ほとんどの工場は休み。さぞかし空いているだろうと思った3両編成の電車は、空席がわずかという混雑ぶり。
工場路線のイメージが強い鶴見線だが、国道駅や弁天橋駅など鶴見の下町も走っているのだ。特に国道駅は高架下にアーチ形の通路がある洞門のような駅として有名だ。
 ただし海芝浦支線が分かれる浅野駅からは雰囲気は変わる。この先には2駅しかなく、どちらも工場に面しており住民は猫ぐらいしかいない。浅野駅は三角形のホームが珍しい無人駅。ここから運河を見ながら3 分で終着の海芝浦駅へ。
 ホームの隣は波がうちよせる海面、しかも改札外は部外者立ち入り禁止の工場だ。その海芝浦行きの電車に乗りかえた人たちは車窓を堪能するオジサンや時刻表を携えた一人旅、そして互いに写真を取り合うカップルなど、ほとんど『部外者』ばかりだった。
ふたたび浅野駅に戻って『本線』とも言える扇町行きに乗り換えた。今度は乗車時間わずか1 分の安善駅で下車、鶴見線では少なくなった木造の駅だ。駅前には工場地帯の小島のように住宅街が残っている。食堂や銭湯を見ながら下町散歩をして、再び安善駅から鶴見駅に戻った。
 都会の片隅で非日常を体験できる鶴見線の旅、海芝浦駅のホームに立つと、地の果てを見たような気がした。この探検にかかった費用は、全部で450 円(Suica 利用)だった。


鶴見駅 鶴見線だけが2 階から発着する鶴見駅西口。昭和5 年に鶴見駅まで延伸、開業時はモダンな駅ビルの1 階に百貨店があった。


国道駅 鶴見川を渡る手前にある高架駅、階段を下ると時間が止まったような改札口と通路が現れる。寿司ネタ問屋が並ぶ生麦魚河岸も近い


安善駅 浅野駅から約500m の安善駅、どちらも埋立地を作った浅野総一郎と財政的に協力した安田善次郎からとった駅名。貨物駅も併設する


海芝浦駅 鶴見駅から海芝浦行きに乗ると11 分で到着する終着駅。京浜運河に面したホームから見る風景は雄大だ。改札の先には海芝公園がある

文・写真◎ 杉﨑行恭